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» 2012年07月06日 08時00分 公開

死んだら発動する“お別れサービス”は何年先まで保証する?古田雄介の死とインターネット(2/3 ページ)

[古田雄介,Business Media 誠]

1年後の自分や別れた彼氏彼女に送る人も――ラストメール

 ラストメールは2010年2月にスタートした、ケータイ向けのお別れメッセージ送信サービスだ。ユーザーは会員登録して、送信したいアドレスとメッセージなどを設定する。その後は1カ月に数回ペースで届く生存確認メールをたまにチェックすればいい。

 あらかじめ設定した3カ月から12カ月の間が過ぎても反応がない場合、最終確認メールが送られて、それでも反応がないと、5日後にお別れメールが送信される仕組みだ。文面はいつでも変更可能で、会員登録後にメッセージを設定しないままでいることもできる。リリース当初は、お別れメッセージの1通目をビズリードが保有する仕組みだったが、すぐに改訂されて、指定した相手のためだけに送れるようになった。

ラストメール。2012年7月現在はフィーチャーフォン向けのサービスだが、近いうちにiOSやAndroidなどのスマートフォンにも対応する予定だ。利用は無料

 代表の篠崎亮氏が「遺書よりも気軽に死後の思いを伝えるサービスがあればと思い、当時流行っていたケータイ小説の世界観をヒントに作りました」と語る通り、同種の中では比較的若年層に向けたサービスとなっている。実際の利用者には50代以上のユーザーもいるが、中心層はやはり10代から30代だ。

 登録ユーザー数は、サービス開始から2カ月で1500人を突破したが、その後は月30〜40人ペースの増加に落ち着いており、2012年7月現在は累計で3000人超となっている。同社広報は「プロモーションが難しいこともあり、しばらくは口コミでの広がりに頼っていました。今後はスマホ対応を進めるなどテコ入れしていこうと思っています」と語る。近々の目標は、現在の50倍……月1500人程度の増加ペースに上げることだという。

 登録ユーザーのうち、お別れメッセージをセットしているのは3分の1程度で、これまでに約50件が実際に送信されている。ただし、本当に登録者が亡くなっているのか、ビズリード側が確認する術はない。「人によっては、自分のPCメールを送信先に設定して、1年後の自分に向けてメッセージを送ったり、彼氏彼女のアドレスに向けて、別れた別れていないで発信したりという使い方をされているようです」(篠崎氏)と、明らかに生死に関係ない利用法もみられる。

ラストメールで送信されるお別れメールのサンプル。冒頭にサービスの解説が添えられており、送られた側にも意図が誤解されないように配慮している

 同社はそうした利用法も許容しているので、一般的に死が遠い年代であっても、タイムカプセル的に利用していける。ただ、死が遠いからこそ、真剣に向き合った時にサービスの存続期間が気になる側面もある。

 Webサービスの多くは、事業が終了したり企業が消滅したりした時に終わりを迎える。ラストメールも例外ではないが、篠崎氏は「基本はこの会社でコンテンツを管理し続けたいと思っています。ですが将来的には、万一の事態に備えて、パートナー企業に参加してもらったり、ラストメール単体で存続できるようにサーバーを増強したりするなどといった対策をとることもありえます。とにかく、非常に大切なメールですから、何らかの形で残るようにはしたいと思っています」と語る。

 なお収益については、ほかの業務が同社の柱になっていることもあり、現在ラストメール単独では考えていないとのこと。「バナーを張ってくださる企業があれば大歓迎ですし、将来的には、みなさんのお別れメッセージをまとめたメディアを作りたい思いもありますが、まずは多くの方に使っていただくことだけを考えています」(篠崎氏)という。

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