『エヴァ』から『009』まで――春夏よりアツイ秋冬劇場アニメを紹介しようアニメビジネスの今(3/5 ページ)

» 2012年10月10日 08時00分 公開
[増田弘道,Business Media 誠]

話題作揃いの10月作品

 10月公開作品はある意味全て話題作である。

近未来リアルストーリー『神秘の法』

 公開順に紹介すると、10月6日が『神秘の法』と『魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語』。『神秘の法』は幸福の科学製作の劇場アニメとして6作目となる。日本が突然アジアの超大国に占領されるというストーリーは尖閣諸島など現在の国際情勢を考えるとリアリティがあるように思えてくる。配給が東映から日活に移行。公開規模は全国204館、堅い支持層があるので興収は10億円前後か。

『神秘の法』予告編

テレビシリーズ総集編『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 永遠の物語』

 一方、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語』は10月13日公開の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 永遠の物語』とともにテレビシリーズの総集編という内容。

 興収を予測するための比較対象があるとすればやはり7月公開の『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's』であろうか。こちらは、興行収入より物販の売り上げが大きいということが話題になったが、50館で公開され興収最終予測は4億円超。他方、『魔法少女まどか☆マギカ』は43館からの出発。総集編ということもあり、『なのは』より興収は多少落ちるものと思われるが、10月13日公開の後編『魔法少女まどか☆マギカ−永遠の物語−』とあわせて数億円は堅いだろう。新作の劇場版も準備中とのこと。

『魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語』予告編

桜庭一樹原作『伏 鉄砲娘の捕物帳』

 10月20日公開の『伏 鉄砲娘の捕物帳』は東京テアトル配給、現時点では全国65館で公開予定。小説を原作としたテレビアニメは多いが、劇場アニメとなるとは少ないので比較対象となる作品が見つからず、興行的には未知数と思われる。予告編を見る限りではクオリティのある作品と見受けられるので健闘を期待したい。

映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』予告編

日本初の本格的3DCGアニメ『009 RE:CYBORG』

 10月公開の中で恐らく一番注目されているのが27日公開の『009 RE:CYBORG』ではないだろうか。神山監督がどのように009に取り組むのか興味を持っていたが、3Dで予告編を見たときに、3Dに向けた本格的な映像構成となっていることが分かり、これは期待できると思った。

 公開館数は現時点で全国63館。興行収入の予測は難しいが、日本初の本格的な3DCG作品となった本作は日本のアニメとって大きな意義を持つものになることは間違いない。完成が遅れておりプロモーションが追いついていないようだが、劇場で見ればその意図に納得するはずである。

映画『009 RE:CYBORG』(サイボーグ009)製作発表PV

マクロス30周年記念映画『マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!』

 同じく10月27日公開の『マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!』はマクロス30周年記念作品であるが、内容的には1994年にテレビ放映された『マクロス7』の映像をリマスターした上で再構築、さらに『マクロスF』の完全新作映像と融合させた「ハイブリッド・ロック・アニメ」ということである。

 2009年『劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜』が全国110館で最終興収6億4500万円、2011年『劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜』が97館で6億5000万円であったが、今回の『マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!』は18館スタートなのでおそらく前2作品と位置付けが異なるのであろう。

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『マクロスFB7 銀河流魂 オレノウタヲキケ!』予告映像

秋のプリキュア『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』

 やはり、10月27日公開の『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』。秋公開のプリキュアは、2009年8億円、2010年8億9000万円、2011年は9億円と堅調に推移している。今年も例年並みの171館での公開となっており同程度の興収が見込めるだろう。

『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』予告映像

今回は大幅に拡大公開『バイオハザード ダムネーション』

 10月27日公開の最後の作品はフル3DCGアニメ『バイオハザード ダムネーション』。2008年『バイオハザード ディジェネレーション』は全国3館で2週間という限定公開ながら、4300万円の興行収入を上げるヒットとなった。そのこともあり、今回は109館の拡大公開となっている。

 9月14日公開の『バイオハザードV:リトリビューション』がシリーズ最高の出足を見せ、10月4日にゲームの『バイオハザード6』が発売されたというこの時期での公開は10億円台のヒットの期待を抱かせるに十分だ。

『バイオハザード ダムネーション』予告編

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