就活生も企業も、似たような悩みを抱えているサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2013年02月25日 06時30分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

「視野を広げろ」というアドバイスの意味

5社合同で新卒採用を行う取り組み。Facebookページで詳細が分かる

 就活生は、今の時期(2月末)あたりから「視野を広げろ」と何度も同じ台詞を聞かされます。要は「見る企業の業種を絞りすぎるな」ととらえてもらえばいいでしょう。

 例えば、広告代理店を志望している学生は、大手を中心に広告代理店ばかり見てしまいます。確かに、就きたい仕事がハッキリしているというメリットはあるのですが、逆に人気の企業ばかりなので「狭き門」なのです。だからそれ以外の業種にも視野を広げて、気付いたらどこにも就職できない、という状態にならないように注意しろということ。とはいえ、そう言われてもなかなか実行できないというのが正直なところでしょう。

 また、新卒採用が一段落しても内定が出ない就活生たちは、やみくもにさまざまな企業にアタックし始めます。そういう学生は「視野が広い」ではなく「軸がない」と評価されてしまうために就活がうまくいかなくなってしまうのです……が、その話はまた別の機会にしましょう。

就活生だけでなく、企業も出会いを求めている

 さて、就活生たちへの「視野を広げろ」というアドバイスと同様に、企業にも似たような助言がなされます。それが「新しい出会いを探せ」というもの。先の広告代理店の例を続けると、広告代理店の採用担当者たちは、それこそ広告代理店志望の就活生としか会えないというケースがほとんどですが、それ以外に「自分たちが会っていない、優秀な学生がいるかもしれない」という思いをいつも持っています。だから、採用担当者たちは新しい出会いを探し、その機会を作ろうと懸命なのです。しかし、就活生と採用担当者、それぞれの努力はむなしく、なかなか視野は広がらないし、新しい出会いも生まれないのが現実でした。しかし今回、この5社合同選考会で「新しい出会いは、意外なところで生まれている」ことに気がつきました。

 例えば、アイスタイルという会社は、コスメ情報サイトの運営が事業の中心になっています。ですから、応募する就活生は女性が多くなってしまう。しかし、当然コスメ情報サイトを運営しているから女性ばかりで良い、というわけではありません。が、男子就活生との出会いは極端に少なくなってしまっていました。

 またアイティメディアは、インターネットによるニュースサイトが事業の中心ですから(シレッと書いていますが、Business Media 誠もその一つです)記者やマスコミを志望している就活生たちが多く集まる。しかし、アイティメディアも営業やエンジニアが必要なのです。5社合同選考会を実施することで、アイスタイルは今までに会えなかった「男子就活生」たちに接点を持つことができたり、アイティメディアは「記者に興味がなく営業志望の就活生」に出会えたり、というメリットがあったのです。

就活生は企業の「違和感」をプラスに変えるといいかも

 「会えない学生と会いたい」と思い続けていた企業の採用担当者たちが、5社合同選考会という普段と違う採用活動をすることで、今まで会えなかった学生と会えた。業種がまったく異なれば別ですが、IT系という大きなくくりでは同じタイプの企業です。就活生の視野の範囲に入っているはずなのに、これまではうまく出会えていなかった。

 企業がポジションを変えることで(自分たちにとっては)新しい就活生と出会えたということは、裏を返せば「就活生が意図的に」ポジションをずらすことで、自分との接点を「新鮮な出会い」であると演出することもできるということになります。まあ、そういうのを「小ざかしい」というお叱りを受けることは承知して、ここでは書いていますが。

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