選挙が近づくと出版社が笑う? “おいしい仕事”の裏側相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年02月28日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)、『血の轍』(幻冬舎)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 「7月の参院選を前に……」

 新聞やテレビの政治記事の中で、こんな枕詞を目にしたことはないだろうか。先の総選挙を経て、民主党から自民党へと政権が変わったばかりだが、依然として参議院はねじれ状態が続いている。このため、次の参院選で自民党が安定多数を確保できるかどうかが注目材料となっているわけだ。大型選挙を前に、水面下である事象が起こっている。簡単に言うと「選挙が近づくと出版社が笑う」という構図だ。今回は一般の読者があまり知らない裏側を紹介しよう。

おいしい仕事するか?

 今月初旬、私は一本の電話をもらった。開口一番、電話の相手がこう切り出し、私は面食らった。

 「アイバちゃん、おいしい仕事がゴロゴロあるけど、一枚かむかい?」

 電話の相手は記者時代からお世話になっている某編集プロダクションの幹部。なにやら怪しげな会話に映るかもしれないが、誤解しないでほしい。

 おいしい仕事とは、ゴーストライターのことだ。ゴーストライターとは、著者の代理として執筆するライターのこと。では、どんな仕事がゴロゴロしているのか。

 答えは、政治家が出す自叙伝や政策関連書籍のことだ。

選挙が近づくと、出版界では“おいしい仕事”が増えるという
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