自社商品の“使い方”から新しい価値を探せ!(1/2 ページ)

» 2013年03月06日 08時00分 公開
[荻野永策,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

荻野永策(おぎの・えいさく)

株式会社ALUHA社長。Javaプログラミングができるマーケティング、営業戦略コンサルタント。1979年兵庫県西脇市生まれ。金沢工業大学でJavaを用いたソフトウェア加工学を学び、2001年情報処理学会北陸支部優秀学生賞を受賞。大学院を経てALUHAを起業。


 2013年2月18日発行の日経MJに「食品の通販代行 人手不足カバー」という記事が掲載されていた。簡単にまとめると次のような内容である。

  • 観光農園である山梨県の御坂農園は、日本郵便と電通が共同出資した会社が手掛ける「ワンライン」というサービスを活用
  • 「ワンライン」は客のリストを電子データ化し、ダイレクトメールを作成、発送し、注文の受け付けも代行するサービス
  • 通販の手間(人手不足)を解消し、農家などの利用者を支援
  • 同様のサービスはありがちだが「いつ、どの手段でどのくらいの注文が入ったのか?」を蓄積できるのが最大の特徴
  • 御坂農園には2万5000件のリストがあるものの、今までは手作業で1000件のDMがやっとで、貴重な「資源」は眠ったままだった
  • 2万5000件のリストは過去に来園してくれた顧客で、来園経験がある顧客なので、DMの効果は期待できる。しかし人手不足でできなかったが、「ワンライン」のおかげでできるようになった
  • 昨夏は3400通のDMを送り、通信販売の売り上げは440万円に。DM発送数は前年の3倍、売り上げは前年の15倍になった
  • さらに日本郵便は「ネットスーパー」ならぬ「手紙スーパー」も開始
  • 愛媛県のスーパー「ママイ」と組み、2011年11月から開始
  • 会員登録してカタログ掲載商品の番号と個数を専用の注文用紙に記入し、自宅のポストに毎朝9時30分までに入れておく。郵便配達員がそれを回収し、翌日には注文商品が自宅に届く

 この記事では、日本郵便の取り組みを中心に紹介しているが、日本郵便は自社サービスの使い方を考え、それをパッケージにして販売し、自社の売上向上を狙っている。

 「ワンライン」が良い例だが、「こういう風に活用したら売り上げが上がるのでは?」と顧客リストの活用方法を提案し、その中の手段としてDMを組み込み、郵便物の増加を狙っている。「DMを送りませんか?」という提案ではなく、「DMと顧客リストを活用すれば、優良顧客が増えるんですよ」という提案を行っている。つまり、優良顧客の増加という「日本郵便の使い方」の提案と言えよう。

 「手紙スーパー」も同様である。日本郵便を「こうやって使えば」、生活がこんなに便利になるという提案を行っている。自宅のポストまで回収しに行くという業務が発生するが、買い物に日本郵便を使うという形で、新しい使い方を提案している。

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