KDDI、DACが5億円出資。eコマース+SNSの「Origami」って何?O2Oマーケティングの新しい形(1/2 ページ)

» 2013年04月24日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 株式会社Origamiは4月23日、同社が開発したeコマースプラットフォーム「Origami」を公開した。Origamiは、ファッションブランド、セレクトショップ、アートギャラリーなど多様なブランドの商品を取り扱うeコマースサービス。23日時点ではiPhoneアプリのみで提供するが、Androidアプリ、PC用サイトも順次公開する。

 従来のeコマースのショッピングモールとは違い、SNS(ソーシャルネットワーク)的な要素を強く持っている点が特徴で、ユーザーインタフェースはFacebookやPinterestに似ておりなじみやすい。好みのブランドをフォローするとそのブランドの商品がタイムラインのように流れてきたり、友人が「いいね!」を付けた商品を購入したりすることができる。そのブランドの店舗に出かけて、そこでチェックインすると、位置情報を使いその店に関連したアクティビティとしてリアル店舗と連携できるO2O機能も備えている。また、Facebookとも連携する。

Origamiはeコマースサイトだが、ユーザーインタフェースがFacebookやPinterestに似ており、きわめてSNS的。チェックイン画面はFoursquareを思い出させる

 これまでもさまざまなファッションブランドがeコマースにチャレンジしてきたが、問題点が3つあった、とOrigamiの康井義貴CEOは指摘する。1つは独自でeコマースサイトを始めてもトラフィックが来ないため結果として新しい客を呼べないこと。2つ目はサードパーティのモールサイトに参加した場合、初期費用・月額費用などの運用コストが高い上、ブランドコントロールが難しいことだ。例えば楽天などのモールの場合、(1)ユーザーが欲しい商品を検索し(2)さまざまなショップの類似商品が並ぶ、という形で表示される。どのように商品を見せるかなどをブランド側でコントロールすることは難しかった。3つ目は実店舗が生かせず、むしろ実店舗をeコマースが浸食していたという点だ。例えば客が実店舗に行って商品を試着し、その後店よりも安く買えるeコマースで商品を買う……といったことが起きていた。

 Origamiでは、SNS的要素を取り入れることで新しい顧客を呼び込めるとする。また、位置情報を使って、スマートフォンで自分がいるところの近くにある店舗を探す、と言う使い方もできる。「Origamiでは、好きなブランドをフォローするという形をとっているので、ブランドが(意図しない)横並びになるということがない。そして(SNSでは)ユーザーの行動、あらゆるユーザージェネレートコンテンツがすべて広告になる。店舗に行って商品を買わなければ、今まではそこで終わりだった。しかし(Origamiでは)実店舗に行ってチェックインしたり、写真を撮ったり、つぶやいたりすると、それが広告となって人々に広がっていく」(康井氏)

 Origami上で商品が売れると、手数料としてその10%をブランドが支払うレベニューシェアモデルを採用。店舗・ブランド側は初期費用、月額費用不要でOrigamiを利用できる。

 現在Origamiに出店しているのはBEAMS、A.P.C.、森美術館、3.1 Phillip Lim、吉田カバン、A BATHING APE、RESTIR DIGITAL、MoMA DESIGN STOREなどさまざまなブランド。ファッションブランドだけでなく、アートギャラリーやセレクトショップも参加しており、雑貨やガジェットも取り扱う幅広い顔ぶれだ。「すでに500以上のブランドから出店の申しこみを受け、順次開店している」(康井氏)

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