しかし、世の中には、そんなITの常識を知らない人のほうがずっと多い。逆に、コンピューター処理に対して疑っている人もいるくらいだ。JR東日本はそこを見誤った。私たちが思っている以上に、“自分が関わるデータ”に対して敏感な人はたくさんいるのだ。
私の周りにも、「レンタルビデオの会員にはならない。IC乗車券も使わない。販売店のポイントカードも作らない」という人がいた。「自分の情報を他人に持っていかれるのが嫌だ」という。私は「あなたが思うほど、世間はあなたひとりのデータなんかに関心はないと思うよ……」と思ったけど、ここまで徹底する人とは価値観が違いすぎて分かり合えない。
でも、その人だってコンビニで何かを買えば、商品のデータのほかに、レジで性別や見た目の年齢を登録される。コンビニは購入客のデータを集めて仕入れに役立てており、それが私たちにとって「欲しいモノが手に入りやすくなる」という状況へ還元されている。宅配便を受け取れば、配達人は場所や利用者の名前と顔を覚えて、次の配達の時間短縮に役立てる。それが情報化社会の暮らしだ。社会で生活している限り、私たちは有形無形、何らかの自分に関するデータを提供し、そこから生まれるメリットを享受している。
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なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前がCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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