水戸納豆カレーが成功した理由は、納豆カレーが有名でありながらも珍しかったという点があげられる。また、コミックマーケットにおいて500円という価格は非常に安く、友人へのプレゼント用、人気が出て売り切れたときのための予備用、介錯氏のイラストカードコンプリート用などとしてまとめ買いが多発した点もあげられる。つまり「納豆カレーってそういえば食べたことないし、500円か……。ネタとして1個買ってみよう!」とオタクに思わせることができたのが大きかった。
一方、JAうごのあきたこまち、通称「西又米」は農作物としては初の「萌え」とのコラボレーション商品だった。しかもその初の商品が、同人界や美少女ゲーム界で当時人気絶頂だった西又葵氏によって手掛けられたということで、オタクに大きなインパクトを与えたのである。
この西又米は当初、9月末から10月15日までの注文分にしかクリアファイルが付かない予定だった。それが発売5日目にして注文の受付が一時的に止められてしまったことで、限定品としての強い価値を帯びたのである。
オタク業界に限らずどの世界にも「転売屋」は存在するが、西又米も注目度が高く売り切れそうな限定品ということで転売屋の買い注文が殺到し、その販売数が一気に伸びることになった。
そもそもお米は日本人の主食であり、買い置きができる。西又米の値段はスーパーなどで売っているお米とあまり変わらないにも関わらず、とても味が良かった。さらに定期購入をすると、送料が無料になるというサービスを提供することで太い顧客をつかんでいくことに成功したのである。
その後、秋田県羽後町の菅原酒店は西又葵氏とコラボレーションして萌焼酎「花嫁道中」を発売したりもしている。しかしこれらの簡単なコラボレーションによるオタク向け商品は、簡単であるが故に成功させることは難しい。
「ザクとうふ」に学ぶ、遊び心とオタクの作品愛
オタクビジネスを成功させる「商品のストーリー性」とは
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