スマートフォンを月額3000円程度で利用できる「格安スマホサービス」市場が活気づいている。大手スーパーのイオン、家電量販店のヤマダ電機やビックカメラ、さらにはAmazonや楽天など、さまざまな業界からの参入が相次いでいる。
その“ブーム”の火付け役となったイオンでは、4月に第1弾製品となる3G版「イオンスマホ」を販売開始して以降、7月にはより低価格の端末やサービスを利用することで、通話および通信基本料金と本体料金を合わせて月額1980円で提供できる新たな3G版を、9月には高速通信が可能なLTE版を相次いで発売した。そして11月には月額通信容量を2Gバイトから5Gバイトに拡大したLTE版を投入する。これらの通信インフラはパートナー企業のビッグローブが提供する。
取り扱い場所は、全国のイオン、コンビニエンスストアのミニストップ、食品スーパーのマルナカなど約2700店舗に及び、現時点でイオンスマホは累計で数万台が販売されている。
なぜイオンがスマホ事業を手掛けるようになったのか。同事業を担当するイオンリテール デジタル事業開発部の橋本昌一部長は、その理由について「スマホの料金などに不満を持つ顧客の声が後押しとなった」と説明する。同社では大手キャリアのモバイル端末を20年近く店舗で販売してきた。そうした中、スマートフォンの登場によってよく聞かれるようになった顧客の意見は、主に(1)料金体系が分かりにくい(2)価格が高い(3)解約料が発生するのがいや、というものだった。
特に同社の顧客は主婦や高齢者が多いので、料金体系の不明瞭さはスマホ販売における大きな足かせとなっていた。こうした顧客の声にどう応えていくか。その回答がイオンスマホというわけである。
成果はすぐに表れた。同社では55歳以上の顧客を「グランド・ジェネレーション」(G.G世代)と呼んでいるが、ある調査を行ったところ、店舗内で大手キャリアのスマホを購入したG.G世代は15.1%だったのに対し、イオンスマホは51.7%と3倍以上の支持を得たという。70歳以上については、大手キャリアの0.6%に対してイオンスマホは4.5%の購入率だった。
高齢者層のニーズをつかみ、さらにイオンスマホを販売を伸ばすべく、さまざまな企業とのパートナーシップも強化する。その一例がソフトウェアなどを販売するソースネクストとの協業だ。同社が2014年10月29日に発表した格安スマホ向けアプリ使い放題サービス「アプリ超ホーダイ」をイオンスマホのオプションサービスとして提供していく。
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