機械学習という分野においては、コンピュータにたくさんのデータに関するパラメータ(特徴量)を学習させて、それを基にして未知データを分類させます。下に示す図は、機械学習における“教師なし学習”の概念図です。
この時、精度を高めるためには適したパラメータをコンピュータに学習させなくてはなりません。それは人間が選択するのですが、多すぎても少なすぎても精度が落ちてしまうため、職人技の領域になっていました。
この状況にディープラーニングはブレイクスルーをもたらしました。先述したように自己符号化機を何層も積み重ねることで、分類させたいデータについて、どのようなパラメータで学習すれば精度が良くなるのかコンピュータ自身が最適化することを可能にしたのです。
ディープラーニングがしていることは私たち人間がしている学習と同じように考えることができます。
例えば、私たちが友人の顔を覚える時のことを考えてみましょう。
顔について、さまざまな特徴量が考えられるかと思います。目の大きさ、髪の長さ、肌の色、口の形、 耳の大きさ、鼻の形などなど意外と顔というものは大量の情報を持っているのです。これら全てが特徴量だと言えます。
そして私たち人間はこの特徴量を全て用いて顔を認識しているわけではないと思います。顔全体の輪郭で判断することもあれば目の大きさ、髪型などで判断することもあるでしょう。
顔を認識する際に全ての特徴量を用いるのではなく、私たちは自分の中で納得のいく形で友人それぞれの顔を認識し分けています。
ディープラーニングは、アルゴリズムで特徴量の圧縮を行うという形で同じ学習を可能にしたのです。
東京大学の松尾豊准教授が記された『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの-』によれば、ディープラーニングはそれまで人間がするしかなかった領域に足を踏み込んだアルゴリズムだとされています。
ディープラーニングは、データをもとに、コンピュータが自ら特徴量をつくり出す。人間が特徴量を設計するのではなく、コンピュータが自ら高次の特徴量を獲得し、それをもとに画像を分類できるようになる。ディープラーニングによって、これまで人間が介在しなければならなかった領域に、ついに人工知能が一歩踏み込んだのだ。(P147より引用)
Copyright © Credo All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング