なぜ小さな会社が、“かつてないトースター”をつくることができたのか水曜インタビュー劇場(トースター公演)(1/6 ページ)

» 2015年07月08日 08時15分 公開
[土肥義則ITmedia]

水曜インタビュー劇場(トースター公演):

 バルミューダといえば、数年前に発売した高級扇風機「GreenFan(グリーンファン)」を思い出す人も多いのでは。当時、同社は倒産危機に追い込まれていたが、この商品がヒットしたことによって息を吹き返したのだ。市場に旋風を巻き込んだグリーンファンと比較して、新商品の「BALMUDA The Toaster」(以下、ザ・トースター)の予約注文は20倍ほどだという。

 “ヒット商品仲間入り”の香りがぷんぷん漂うトースターは、どのようにして開発されたのか。大手家電メーカーがつくれなくて、なぜ小さな会社のバルミューダがつくれたのか。社長の寺尾玄(てらお・げん)さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

 →ヒットの香りがプンプン漂う「ザ・トースター」は、どのようにして完成したのか(前編)

 →本記事、後編


なぜ小さな会社でできたのか

土肥: バルミューダは、食パンやフランスパンなどが“しっとり感”を保ったまま、焦げる手前の焼き加減で仕上がるトースターを開発されました。前回は、数々の困難を乗り越えて完成した……といった話を中心にうかがいましたが、ちょっと疑問があります。

 家電量販店のトースター売り場に行くと、たくさんの商品が並んでいます。像さんのマークや虎さんのマークが入った商品など、ほとんどのモノが大手メーカー。しかも昔から機能はほとんど変わっていません。

 トースターを使ったことがある人であれば、一度はこのような経験をしていると思うんですよ。1枚目のパンを焼くときには3分かかった。じゃあ、2枚目も3分で……としたのに、焦がしてしまったことが。

 開発している人たちは、こうした問題があることは分かっているはずなのに、それが解決されてこなかった。解決しようとしたのにできなかったのか、そもそも解決するつもりがなかったのか分かりませんが、バルミューダはそれを解決された。

 大手メーカーでできなかったことが、なぜ従業員50人ほどの小さな会社でできたのでしょうか?

バルミューダが開発した「ザ・トースター」
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