なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人仕事をしたら“10年後のサラリーマン”が見えてきた(前編)(1/5 ページ)

» 2013年03月06日 08時02分 公開
[土肥義則Business Media 誠]

 人には「聞かれたくない」質問が、ひとつくらいあるのでは。記者にもあるのだが、そのひとつが「未来」について。

 10年後、ドイさんはどうなっていると思いますか? と聞かれても、答えに困ってしまう。なぜなら「考えたくない」という気持ちがあるからだ。そんなことを言っていると、ビジネス書なんかでは「ビジネスパーソンよ、未来の目標を持て!」などと書いていそうだが、どうもこの類の話が苦手。

 なぜ苦手意識があるのか考えてみたところ、たぶんいろいろなことを“逆算”しなければいけないからだ。例えば「10年後、自分はこうなる」と決めたら、その目標に対してこのように逆算しなければいけない。「2〜3年以内に、コレとコレとコレをしなければいけない」「ということは、1年以内にアレとコレとソレを身につけなければ」「そう考えると、毎日、しっかり生きなければいけない。1分1秒が勝負だ!」という話になって、息苦しくなってしまうのだ。

 しかもその目標というのが、どうもあいまいなので、逆算していても不安に感じてしまう。「こんなことをやっていて、いいのかオレ?」といった感じで。このような話をしていると、ちょいちょい仕事をご一緒させていただいているH氏が、こう言った。

 「じゃあ、『10年後はこんな世の中になるよ』というヒントがあれば、目標をもてるでしょう? フジハラさんにインタビューしてみては?」――。

 フジハラさんとは、藤原和博さんのこと。リクルートを退職された藤原さんは、その後、都内では義務教育初の民間校長として活躍された。最近は「10年先のビジネスパーソンにとって必要なこと」について、講演会などで語っているという。

 「2023年」と聞いても、まだまだ時間はたっぷりあると思いがちだが、環境変化のスピードは速い。私たちの親が生きてきた時代とは、きっと違う働き方が求められているはずだ。10年後の社会はどうなっているのか?――そのヒントを探るために、藤原さんに会いに行った。


 藤原さんに話を聞く前に、彼の経歴を簡単に紹介しよう。藤原さんは1978年、大学を卒業後、リクルートに入社。30代前半で営業本部長に就任し、その後は欧州にも駐在した。40歳のときに同社を退社し、会社とパートナー契約を結び「フェロー」(客員社員)に。そして47歳で、東京都では義務教育初の民間校長に就任した。5年後に退任してからは「教育改革」を広めながら、東日本大震災の支援活動なども行っている。

 さて前フリが長くなってしまったが、そろそろ藤原さんの声を紹介しよう。

10年後のサラリーマンはどんな姿になっているのだろうか(写真と本文は関係ありません)
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.