建設現場からバイク、ゴルフまで...... 水冷式の冷却服、猛暑で人気じわり猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(1/2 ページ)

» 2023年07月31日 12時46分 公開
[樋口隆充ITmedia]

猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い:

電気代高騰や猛暑を背景に企業が「ひんやりグッズ」に商機を見いだしている。ヒットしている商品はどのようにして開発されたのか? 売り場のトレンドはどうなっているのか? 消費者のトレンドや開発の舞台裏に迫る


 各社の暑さ対策グッズを集めた「猛暑対策展」が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。ミズノや東レなど大手企業が出展する中、熱中症対策商品を手がけるクールスマイル(大阪市)が開発した水冷式の冷却服が多くの人の注目を集めた。業界ではバッテリー駆動のファンで冷やすファン式の商品が大半を占めるのに対し、同社はタンクに入れた水を循環させる「水冷式」を採用。特許取得の独自技術で利用者増加を狙っている。

photo クールスマイルの商品(会場で記者撮影)

2011年創業の中小企業 熱中症対策が専門

 クールスマイルは2011年7月創業の中小企業。創業以来「熱中症で苦しむ全ての人に救いを提供すること」を経営理念に、建設現場の作業員向けの熱中症対策商品を中心に事業を展開してきた。

 現場作業員の熱中症対策グッズといえば、空調服(東京都板橋区)が手掛ける「空調服」(商標登録済み)が代表格だ。空調服は作業服にバッテリーとファンを取り付け、空気の循環で冷却する仕組み。ワークマンの「ファン付きウェア」など、違う名称ではあるものの、似た仕組みの類似商品を各社が販売している。

photo 空調服の仕組み(出典:セフト公式Webサイト)

 そうした中、クールスマイルが選んだのが水冷式。扇風機に近いファン式と差別化する「水冷式はエアコンに近い」。同社の中西雄三代表はこう強調する。

 2014年に初号機を製作。当初は、上着全体に循環用の水冷チューブを巡らせる「線水冷」のものだったが、技術改良を重ね、チューブの使用を最小限に抑えた「面水冷」にたどり着いた。面水冷は薄い平面上の水冷管に水を流し、体温を吸収するシステム。チューブの使用量が少ない上、厚さ1ミリの水冷管を独自開発したことで、軽さと薄さを両立している。同社は「面水冷」方式の特許を取得している。

photo 線水冷と面水冷の違い(出典:同社公式Webサイト)

 腰の部分に2Lの冷水タンクを取り付け、バッテリーとポンプで循環させ冷却する仕組み。総重量は4キロ程になるが、冷水タンクを腰の形に合うよう三日月型にし、体に密着させる手法にしているため、「実際に着用するとそこまで重量感を感じないようにしている」(中西代表)という。同社調査ではバッテリーで連続8時間駆動し、水温15度を維持できるとのことだ。

photo 面水冷服の仕組み(出典:同社公式Webサイト)
photo クールスマイルの商品の特長(出典:同社公式Webサイト)
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