そんな同社の面水冷服だが、これまで中西代表1人で商品を製造し、ハンドメイドに近い形で販売していた。このため、有名企業ほどの生産力と販路がなく、販売数や売り上げの伸びが鈍化していた。製造コストも高くつき、1着で約4万円と若干割高にもなっていた。
10年目の今夏は、初めて中国に製造工場を構え、量産化に着手。価格も約2万円と半分程度に抑えることに成功した。
量産化にも目途を付け、価格面の課題も克服しつつある同社。今後は販売数拡大が課題となる。同社が注目しているのが、toC向けの販売だ。これまでは現場作業員向けの売り上げが全体の8割を占めてきた。
だが、最近は「バイク、ゴルフ、釣り用途での利用がじわりと伸びてきている」と中西社長。特に可能性を感じているのが、バイクだ。オートバイで長距離移動をする場合、フルフェイスのヘルメット着用が安全上望ましいが、着用した状態で運転を続けた場合、猛暑で集中力が低下し、事故の要因になりかねない。
このため、夜間に移動するか、日中の場合、定期的に高速道路のサービスエリアでの休憩を取る必要がある。バイク好きの中西代表は頭部と口元を冷やす水冷服も開発。すでに販売している水冷服と併用することで体全体を冷却できるようにした。
中西代表自身が、日中に本社がある大阪市内から東京都内を高速道路でバイク移動したところ「休憩なしで移動できることを確認した」という。継続的にバイクユーザー向けにTikTokでPR動画を発信したことで「ライダーの間で話題となり、販売数が伸びている」(中西代表)とも明かした。同様に炎天下で行動する釣りやゴルフ好きの利用も増えているという。
中西代表は今後に向けて「1着当たりの価格が下がっているため、売上高はそこまで伸びていないが、業務用以外の利用を増やし、販売数を伸ばしていきたい」と意気込んだ。
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