ホンダの環境対策は、ディーゼルとハイブリッドの2本立て
ホンダは2009年をめどに次世代ディーゼル車を日本市場に投入する。新型ハイブリッドカーも小型車に展開予定だ。また北米市場で人気の高級車「アキュラ」の日本市場投入を2年遅らせることを明らかにした。
7月18日、本田技研工業の福井威夫社長は年央社長会見を行い、次世代ディーゼルエンジンを搭載した車を2009年中にまず米国市場へ、次に日本市場へも投入することを明らかにした。同社は3年前から欧州でディーゼル車を展開しており、販売も好調。ディーゼルエンジンの生産も、日本から欧州に段階的に移管を進めている。
日本市場へは同じく2009年に、小型車にハイブリッド専用モデルを投入する予定。国内では“環境エンジン車”はディーゼル車とハイブリッド車の2本立てで進めることになる。
ディーゼルエンジンがどの車種に搭載されるかは明らかになっていないが、ハイブリッドカーは小型車に搭載され、普及を狙う。現在同社が国内市場向けに販売している「シビック ハイブリッド」のほか、2007年秋にフルモデルチェンジを控えた「フィット」にもハイブリッドモデルが登場する予定だ。
高級車「アキュラ」の投入を2年延期
福井氏は、すでに北米などで展開中の高級車ブランド「アキュラ」の国内市場投入を、当初の予定だった2008年秋から約2年延期することを明らかにした。
延期の理由について福井氏は「2008年に立ち上げなくてはいけないというものでもないし、プライオリティが高いことはほかにある。総合的に判断して決定した。遅れはするが、必ずやる」と話した。
アキュラよりプライオリティが高いことの1つが、国内の販売体制の強化だ。店舗の大型化や新コンセプトの店舗を開設し、国内の販売網を「ホンダカーズ」に一本化する。
また軽自動車の生産にも注力する。子会社化した八千代工業が、四日市市に新工場用の土地を取得したことを発表した。新工場は1000台/日の生産能力で、2009年の稼働を目指す。
中国「広州本田」では、HONDAと別ブランドを展開
同社は積極的に、生産拠点の海外シフトを進め、生産能力を強化している。バイク生産で重視しているのはアジアと南米で、インド、ベトナム、ブラジル、アルゼンチンの二輪工場の生産能力を強化する(ベトナムには第二工場も建設する)。クルマの生産拠点として重視しているのはアジア、南米、中国で、タイに第2工場を建設し、アルゼンチンに工場を新設することを明らかにした。
特に中国では、合弁会社である広州本田が「広州本田汽車研究開発有限公司」を設立。約300億円をかけて、テストコースなども備えた本格的な研究開発施設をオープンさせるとともに、広州本田の自主ブランド製品を開発。2010年の発売を目指す。
自主ブランド製品は、HONDAのブランドを使わず、別ブランドで展開するという。「HONDAブランドではできないことをする。コスト面など、中国のニーズに応えられることを目指す」(福井氏)
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