新興市場の低迷はいつまで続く?
ライブドアショックから1年半が経つが、依然としてIT系関連企業を中心とする新興市場は低迷を続けている。新興市場はいつになったら活気を取り戻すのか? 専門家の意見をまとめた。
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ライブドアショックから1年半、新興市場の低迷が続いている。粉飾決算などで「会計不信」が広がり、市場自体の信用が低下しているため、株価が下落している。2006年1月のジャスダック指数は139.97ポイントの高値を付けたが、8月8日の終値では75.35ポイント、マザーズ指数では同2800.68ポイントから783.78ポイント、ヘラクレス指数は同4234.52ポイントから1281.44ポイントにそれぞれ大きく下げている。
あるネット証券幹部は「2007年3月期の決算が終わっているので、会計不信は払拭されたはず」という声もある。だが決算発表以後も、株価の下落に歯止めがかからない。モーニングスターの保坂昇シニアアナリストは「新興市場の株価が少し上昇すると、“底を打った”と市場関係者の声が出る。しかし、すぐに株価が下がっていく状況」と不透明感を払拭できないようだ。
低迷が続く要因をSBIイー・トレード証券の井土太良(いづちたろう)社長は「ライブドアが上場廃止になってから、新興市場を代表する銘柄が出ていない。個人投資家に人気がある銘柄が出てくれば、株価は上昇するかもしれない」と分析する。その一方で、悲観論も根強い。ある証券会社の幹部は「現在の新興市場と言えば、楽天しかない。いわば“楽天市場だ”」と皮肉る。
新興市場反発のきっかけは中間決算
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新興市場の代表銘柄とも言える楽天の株価を、どのように評価すればいいのか。ライブドアショック後の株価は10万円を超えていたが、8月8日の終値は3万6700円と3分の1ほどまで落ちている。しかし「楽天の株価は割安感が乏しい」とフィスコの佐藤勝己チーフアナリストは指摘する。
今後の楽天の株価については「TBS問題が決着しない限り、株価の上昇は難しい」と佐藤氏は予測する。TBS株を保有することで、楽天の資金効率が悪化、さらに利息の支払いが重くのしかかっているという。「主力のEC事業は伸びそうな気配だが、株価への影響は限定的だ」と言い切る。
一方で「新興市場にも明るい材料が出てきた」とマネックス証券投資情報部の清水洋介氏は見ている。7月末から米国株の急落を受けて、日経平均株価は大幅に下げた。「これまでだったら日経平均以上に新興市場は下げていたが、今回の下げ幅は小さかった」。
清水氏は、中間決算の発表後に新興市場が反発するきっかけになるのでは、と見る。「業績が伸びていて、成長性に対し株価が割安であれば、“出遅れ株”として買われる可能性が高い」と説明する。
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