冬のボーナスは2年連続でダウン、平均33万2000円
日本総研の調査によると、冬のボーナスは2年連続でダウン。大企業の収益は順調に推移しているが、中小企業は頭打ち感が出ている。冬のボーナスでも大企業と中小企業の“格差”の広がりが出てきそうだ。
調査機関・労務行政研究所の調査によると、今年の冬のボーナスは74万8621万円を見込んでいる(10月4日の記事参照)。ただこの数字は、東証1部上場企業を対象にしたもので、中小企業(従業員1000人未満)を含めた冬のボーナス(パートタイム労働者含む)はいくらになるのか?
日本総合研究所によると、今年の冬のボーナスは前年比−1.9%で、平均金額で33万2000円になると予測した。日本総研の調査部では「原油の高騰などによる原材料価格の上昇によって、中小企業の収益改善は難しい」と分析。大企業の冬のボーナスは前年比でプラスの見込みだが、中小企業の落ち込みが厳しいと予測している。「雇用者の大半を占める中小企業の賞与低迷が続くと、家庭の所得環境の悪化が懸念される」と指摘している。
夏のボーナスは平均で31万3000円
今年の夏のボーナスについて、日本総研では大企業で前年比2%超の上昇を見込んでいた。結果は大企業で前年比2.9%だったが、中小企業が厳しく同−3.8%。中小企業が全体を押し下げたため、夏のボーナスは平均で31万3000円となった。
企業規模別の経常利益の推移を見ると、1993年から2005年ごろまでは、大企業と中小企業の収益はほぼ連動した動きをしていた。だが、2年ほど前から大企業は経常利益を順調に伸ばす一方、中小企業は頭打ち感が出ている。
また、雇用戦略でも大企業と中小企業の差が出ている。大企業は今年度に入ってから、パートタイム労働者が前年比−16.8%減少したが、フルタイムの労働者は同4.2%増加している。一方の中小企業はパートタイム労働者が同4.6%増え、フルタイム労働者は同0.7%の増加にとどまっている。
要するに大企業は、フルタイム労働者が増えたことでボーナスが伸び、中小企業はパートタイム労働者の増加によって、ボーナスを押し下げている格好だ。こうした構図について「中小企業ではフルタイム雇用を増やせるだけの成長見通しが立たない、もしくは大企業との人員獲得競争のなかで必要な人材が確保できていない」(日本総研)と見ている。
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