黒いだし汁の「静岡おでん」、ご存知ですか?:キャスター・目黒陽子の「今、これが気になる」
黒いだし汁で、串に刺した種を煮たおでんを、青のりや味噌だれなどで食べるのが“静岡式”。静岡県には「おでんプール」があり、そこに行けばカキ氷とおでんが食べられるとか。関東では見かけない、楽しくおいしい“静岡おでん文化”について調べてみました。
著者プロフィール:目黒陽子
フリーアナウンサー(ライムライト所属)。大和証券SMBCを経て、資格ファイナンシャルプランナーを取得後、キャスターへ転向。NHK総合「お元気ですか日本列島」、「BSニュース」、日本テレビ系列「ウェークアップ!ぷらす」などを担当し、政治・経済など、情報を伝えることの大切さと難しさを学ぶ。同じくアナウンサーの滝川クリステルは従姉妹にあたる。ブログ:http://www.fpcaster.com/
先日、静岡県出身の友人の実家に行ったところ、初めて見るおでんが出てきました。そういえばスーパーでも「静岡おでん」のパックが売られているのを見かけました。その後東京でも「静岡おでん」のお店を発見しました。寒くなってきたのでそろそろおでんの季節でもありますが、ところで静岡おでんって何? 今、“熱い”静岡おでんを調査しました。
だし汁が黒い「静岡おでん」
静岡おでんのだし汁は黒色。しょうゆをたっぷり使うのかしら? と思いきや、意外にあっさり味です。だし汁のベースは、赤味噌・白味噌・しょうゆなどで、黒い色をしているのは、だし汁を継ぎ足して煮るから、という理由のほか黒いはんぺんを入れることでさらに色が黒くなるのだそうです。静岡では、はんぺんといえば黒い半月型の「黒いはんぺん」が普通で、一般の白い四角いはんぺんは「白はんぺん」と呼んで区別しています。黒のはんぺんは、静岡県の焼津港で採れるサバやイワシを基にした練り物をたっぷり入れるので、汁に黒さがにじみ出るのだとか。
おでん種を串刺しにするのも特徴。黒いだし汁の中から竹串が飛び出していて、だし粉(イワシやサバの削り節の粉)や青のり、味噌だれをかけていただきます。
黒はんぺんは、少し歯ごたえがあります。他には牛すじやモツ、なると、白焼きなど、関東ではあまりみかけない具が多いのも特徴です。女性にはうれしいコラーゲンもたっぷりですね。
静岡県では、静岡おでんを全国的にアピールするため「おでん五箇条」を作り、駄菓子屋でもおでんを売っています。近所のお母さんたちがお鍋を持って、駄菓子屋に買いに来るんだとか。
おでん五箇条
- 黒いはんぺんが入っている。
- 黒いスープ(牛スジ)。
- 串に刺してある。
- 青のり・だし粉をかける。
- 駄菓子屋にある。
さらに静岡では、おでんは冬より夏の方が売れるというのです。焼津市では、地元の子供たちに「おでんプール」と呼ばれるプールがあって、そこに行けば、おでんとカキ氷が食べられるそうですよ。静岡では、おでんは夏の食べ物なんですね。ちょっと面くらいましたが、これは検定テスト「静岡おでん検定」にも出題されていました。
静岡おでん検定に挑戦!
問 焼津市で、地元の子供達が「おでんプール」と呼んでいるプールの正式名称は? (答え:平和プール)
問 「静岡おでん」には欠かせないトッピングで、静岡県が日本一の生産量を誇るものは? (答え:青海苔)
問 「静岡おでん」ならではの珍味といわれる、「ふわ」とは何? (答え:肺臓)
→馴染みのない具が盛りだくさんです。
問 「静岡おでん」の多くのお店で、精算する時の方法は? (答え:串の数を数える)
→静岡おでん五箇条にもある通り、すべて串にささっているからできることですよね。
秘伝のだし汁は何年も煮込まれる
“おでん”の始まりは、串に刺した豆腐の味噌焼きだそうです。その名称は、串刺しの豆腐の姿が1本の竹馬で跳ねて踊る「田楽舞」に似ていることから、田楽→お田(おでん)となったそうな。里芋やこんにゃく、いろいろなものを煮込んだ「煮込み田楽」が江戸時代末期に登場しました。そこから今のおでんになっていきましたが、静岡おでんの場合、串刺しは変わっていませんね。煮込みから始まっただけあって、確かにその秘伝のだし汁は何日も何年も煮込まれるそうです。
少し肌寒い季節になってきましたね。これから鍋やおでんがおいしくなりそうです。今年の冬は静岡おでんをいただいてみませんか?
関連記事
- 洗濯の時間、買いますか?
遅くまで働いて、疲れて帰ってきたら部屋には洗濯物の山。「眠いけど、これを洗わないと明日着るシャツが……」なんてこと、ありますよね。毎日のこうした洗濯を代行しくれるサービスがあるとしたら、ちょっと頼んでみたくなりませんか? - 賞味期限と消費期限ってどう違う?
段ボール入りの肉まん、何が混ざっているか分からないハムやソーセージ……中国産食品やミートホープについての報道は、驚きあきれる内容ばかりです。自分の口に入れるものについて、私たちはどれくらい知っているのでしょうか? - 史上最“辛?”体験、してきました
誠編集部に、1通の挑戦状が届いた。「激辛スナック『暴君ハバネロ』がさらにパワーアップ。体調が悪い方はご遠慮を」というではないか! 誠編集部で辛いモノに最も強い(多分)記者が受けて立った結果は……? - おいしい食べ物は高知県、おもてなしを感じた都道府県は……?
リクルートの調査によると、旅行先でおいしい食べ物とは「カツオのたたき」、魅力のある土産物は泡盛やシーサーだった。では「おもてなしの心を感じた」都道府県とは……? - “女体盛り”も登場――最新米国寿司事情
日本料理の代表選手、寿司。筆者が暮らすロサンゼルスでも、米国人に大人気だ。しかしこちらで見かける“Sushi”は、日本の寿司とはちょっと違う。最近では裸の女性に寿司を盛りつけて供する店まで登場した。さて、米国でのお値段は……?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.