駅の切符売り場が変わる――日本信号ブース:IC CARD WORLD 2008
SuicaやPASMOが普及した結果、首都圏の駅では券売機の前に並ぶ人が少なくなっている。“切符売り場”のちょっと未来の姿とは……。
2007年3月にSuicaとPASMOの相互利用が始まって1年(参照記事)。ICカードを1枚持っていればそのまま改札を通れることが当たり前になった結果、首都圏では駅の券売機に並ぶ人の姿を見ることが減っている。
切符を買う必要がなくなり、券売機の前に行列する人が減れば、駅の券売機スペースも姿を変えていく。日本信号のブースでは、券売機の“ちょっと未来”の姿が展示されている。
画面に“タッチ”して素早くチャージ
駅改札のそばに、かなりのスペースを割いて設置されている券売機。しかし上述のように、SuicaやPASMOといったIC乗車券が普及した結果、券売機に並んで切符を買う人は減っている。
従来の券売機を減らして、代わりに入れる機械として日本信号が提案しているのが「ICカードマルチサービス端末(MSX-8i)」だ。形状・サイズは従来の券売機とほぼ同じ。これまで券売機が入っていたところに設置できる。
MSX-8iは、ICカード乗車券に関連する、さまざまな操作が行える多機能端末だ。画面の表面には、画面を4等分するようにFeliCaのアンテナが貼られており、いずれかのエリアをICカード(FeliCaカードやおサイフケータイ)でタッチする。一見タッチパネルに見えるのだが、液晶を“ICカードでタッチする”というのが面白い。
従来、券売機でICカードのチャージ(入金)をするには、カードを中に通さなくてはならないため、おサイフケータイのチャージを券売機で行うことはできなかった。しかしMSX-8iであれば、画面に携帯を近づければおサイフケータイでもチャージができる。
このほか、「ナビ(道案内)」「ICカード設定」「ポイント操作」「遅延証明」といった機能も利用できる。端末にはプリンタが付いており、ポイント設定駅に近い店舗のクーポンや、遅延証明をプリントアウトする、といった使い方もできるようになっている。
音声認識対応券売機
入力をボタンやタッチパネルでなく、“声”で行う券売機も展示されていた。券売機に近付いて「東京」と発声すると、東京行きの切符が買えるという仕組みだ。「駅で、路線図を見上げて『いくらだっけ?』と考えている方が多いので考えました。特に不慣れな土地では、路線図から自分の行きたい駅を探して値段を知るのは大変なので」(説明員)
音声認識のメリットが特に感じられるのは、定期券を購入するときだという。乗車駅、降車駅、経由、通勤か通学か、有効期間など、切符に比べて定期券は入力すべき情報が多いためだ。
実際に定期券を買うデモを見たが、たしかにスピーディ。電話番号など、声に出すのが抵抗がある項目はタッチパネルを併用しながら入力していくと、あっという間に入力作業が終わった。
タッチパネルは点字が出せないという問題がある。券売機が多機能になればなるほど、点字による案内は難しいのが現実だ。多機能化する端末をより多くの人に使ってもらうということを考える場合、音声というアプローチは案外近道なのかもしれない。
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