なぜ私は、にしおかすみこが好きなのだろうか? :郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
なぜか「にしおかあ〜っ、すみこだよお〜」にひかれてしまった。SM女王の衣装をまとう“Sキャラ”、もう一方でひたむきにマラソンを走る“Mキャラ”、SとMを持ち合わせている魅力に加え、彼女はもう1つのキャラを持っていたのだ。
ドSもドMもニュートラルにする心理とは
苦痛をしのぶシンガー、浜崎あゆみさん。内耳性突発難聴で左耳の聴覚を失いながらも、デビュー10周年記念ツアーを強行中。公式Webサイトで「限界まで歌い続ける」と語る。その姿勢がファンの心を打っているようで、ツアーは連日満員、各地で追加公演が行われている。勢いはかつてほどないと言われた浜崎さんだが、今はファン層を広げているようだ。
それはドSとドMをニュートラルにする心理、“アゴニー(苦痛)心理”が働いているから(私の造語)。私たちは、苦痛をいとわない人が好きだ。苦節◯年の人を応援したくなるほど、人のアゴニーが好きなのだ。その構造を描いたのが図2。
アゴニー心理が盛り上がるには、苦節・苦痛が天然モノであることが条件だろう。ヤラセはもちろん論外だし、ファン心理コントロールが透けて見えると炎上の着火剤になる。アゴニー心理は、イジめたい心理とイジめられたい心理という、実に危ういバランスの上にある。だがここにハマったときはブームが起きる。
S・M・Aの三点倒立フルセットがにしおかさん
なぜ筆者は、にしおかすみこを好きなのか? そのワケが見えてきた。ステージではドS、化けの皮をはがすとドM。苦節14年(14個目のキャラ、1万4014着の完走など、なぜか14に縁がある)というアゴニー(A)がフルセット、まれな存在だからである。
それに比べて倖田さんはM寄り、沢尻さんはS寄り、浜崎さんはA寄りでフルセットではない。特にアゴニーだけでは「人の噂は七十五日」というように長続きしない。
最近、にしおかさんは「ドSのキャラには限界を感じている」と発言している。だがその人気、SとMとAの三点倒立で成立している。Sなしでは化けの皮がはがれて、三点倒立からゴロンとでんぐり返しになっちゃって「森光子」ですよ(注:ご自身のブログにあるネタ)。
ここまでにしおかさんのことを好きなように書いてきたが……「お前、こんなこと書いて満足かぁい?」とムチを打ってツッコまれたらどうしよう。
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