チャイルドシート、正しく取り付けていないケースが約7割
小さな子どもをクルマに乗せるときに、着用が義務づけられているチャイルドシート。着用率は5年ぶりに5割を超えたが、正しく使えている人はむしろ少数派なようだ。
JAF(社団法人日本自動車連盟、田中節夫会長)と警察庁は6月19日、チャイルドシート※について、2つの調査結果を発表した。
調査を行ったのは、「チャイルドシートの使用状況」と、「チャイルドシートの取付け状況について」の2つ。
1歳未満の子どもは8割近くがチャイルドシートを着用
チャイルドシートの使用状況については、4月20日から4月30日の間、全国都道府県102カ所で、1万3003人の子どもを対象に調査を行った。この調査は毎年実施しているもので、6歳未満の子どもの使用率は50.2%(2007年は46.9%)。2003年以来、5年ぶりに半数を超えた。
年齢別に見ると、1歳未満がもっとも使用率が高く(79.1%)、1〜4歳が50.8%、5歳が26.0%と、子どもの年齢が上がる毎に使用率は下がっていく。
6歳未満の子ども全体について、都道府県別に結果を見ると、使用率がもっとも高いのは熊本県(69.5%)。次いで愛知県(66.4%)、三重県(63.3%)、京都府(61.9%)、東京都(61.8%)となった。もっとも低かったのは秋田県(33.5%)、宮崎県(36.0%)、愛媛県(37.0%)。
正しく取り付られているチャイルドシートは約3割?
チャイルドシートを使っていても、正しく装着できているとは限らない。JAFと警察庁では、取付状況や着座状況についても調査を行っている。期間は4月20日から30日まで、全国8地域(北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県)の合計17カ所で、クルマ413台、子ども622人について調べた。チェックしたのは以下の項目。
取付状況調査チェック項目
- 腰ベルトの締付け不足(張力50N未満)
- 座席ベルトの通し方(通し位置の間違い)
- 座席ベルトの長さ不足(車両との不適合)
- 座席ベルト(バックル側)の不適合(車両との不適合)
- 固定金具等の不備・誤使用
- サポートレッグの調節不良(車両フロアへの接地不良)
- 車両座面形状との不適合
- ISO-FIXロアアンカーの調節不良
- ISO-FIXサポートレッグの調節不良(車両フロアへの未設置等)
- トップテザーの調節不良
- 車両シートに置いただけ
- その他
取付状況については、乳児用チャイルドシート(202台)と幼児用チャイルドシート(211台)を対象に調査した。使用されていたチャイルドシート413台のうち、しっかり正しく取り付けられていたものは約3割。残る7割はミスユースがあった。もっとも多かったのは「腰ベルトの締め付け不足」で半数以上。次いで、「座席ベルトの通し方(が間違っている)」「固定金具などの不備・誤使用」もいずれも1割以上。このほか、「シートに置いただけ」というケースも1%以上あった。
乳幼児用チャイルドシートは、ハーネスの締め付けが適正でないケースが4割以上
チャイルドシートを使っている子どもが、しっかり座っているかも調査した。調査項目は以下の通り。
乳児用/幼児用チャイルドシート着座状況
- 体格不適合(装置に対する使用時期が合っているか)
- ハーネスの高さ調節
- ハーネスの締め付け
- ハーネスのよじれ、ねじれ
- 乳児用背もたれ角度
- その他
学童用チャイルドシート着座状況
- 体格不適合(装置に対する使用時期が合っているか)
- 肩ベルトの通し方は合っているか
- 腰ベルトの通し方は合っているか
- 肩・腰ベルトの通し方は合っているか
- 座席ベルトはよじれ/ねじれていないか
- 指定外のベルト(2点式など)を使っていないか
- その他
正しくしっかり着座できていた子どもは約6割。残る4割の子どもはミスユースがあった。乳児・幼児のミスユースでもっとも多かったのは「ハーネスの締め付けが不適正」、ついで「ハーネスがよじれている」「ハーネスの高さ調節(が正しくない)」となった。
学童用シートでは「装置に対する使用時期が合っていない」(32.6%)「肩ベルトの通し間違い」(23.3%)「腰ベルトの通し方間違い」(16.3%)が多く、この3つで72%以上となっている。
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