おい自分、チカラ抜けよ――再発見の自転車ツアー:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
「自転車はただ速く走れば良いというものではない……」。謎解きをしながら、東京の名所を自転車でめぐる“東京謎解き散走”。残暑の東京を駆け抜けて、自転車との新たな付き合い方を見いだした。
ヘタりつつ迂回しつつも
残暑の厳しさに「ビールが欲しい!」と3度叫んだ後、Uさん先導で3つめの謎の地、築地の浅野内匠頭邸跡を目指す。途中、大きな橋を2つ渡る。東京湾の空気はとっても爽やかだったが、渡りきったら暑さでヘタる。察してくれたスタッフの田辺さん、アイスクリームと飲料補給のために先回りしてくれた。優しいなあ。アイスがアタマにツンツンきた。
力を取り戻して再出発。あと2つポイントをクリアしなきゃ。築地から新橋の愛宕神社へとヒタ走り! と思いきや汐留で足留(め)。交差点が渡れない。再開発エリアは自転車にやさしくない。迂回して探した高架下の道から、愛宕神社の山にのぼる。
で、問題は何だっけ?(笑)
“明治元年に愛宕山から江戸を見渡した2人の偉人はだれか?”
ほぉ、答えは大河ドラマでおなじみのあの2人でした。最後の謎解きは紀尾井町の清水谷公園。あの辺りなら鼻が利く。赤坂見附の裏道を走り抜け、ニューオータニから公園へ。そこに明治時代暗殺された大立者の石碑あり。謎解き完了!
散走のプロ、自転車に乗る姿がキマっている田辺さんは自転車ツーキニスト。何台も自転車を乗り替えた佐々木さんは写真もプロ。とても楽しいOVEな1日をありがとうございました。参加者ほぼ全員がリピーターという最初の謎は簡単に解けた。なぜなら私もリピーターになるからです!
OVEな気づき
散走を終えて、私の自転車観は変わった。
散走体験の次の休日、いつものように愛車ロードレーサーで河川沿いの自転車道路に繰り出した。ママチャリじゃない“本格”自転車はエクササイズっぽく、ストイックにスピードを出して走る、そういうものだと思っていた。その日は「何か違うな」と感じて専用道を降りた。
ゆっくり散走してみよう。
すると、街の光景が変わった。新築の家、古くなったけどまだ頑張っている家、ハイビスカスの大輪、ボートの倉庫。乗る姿勢も変わった。必死でこぐ前屈みでなくて背筋もピンと伸びる。自転車視野が広がった。
これが“OVE”な気付きか。OVEとは“Opportunity”(機会)、“Value”(価値)、“Ease”(気楽さ)の頭文字を組み合わせた言葉で、「生活の中に自転車散走を埋め込む」というメッセージが込められている。「オレの趣味は自転車だ」ではなく「生活が自転車で楽しいんだよ」、OVEはそういう人を増やすための試みなのだ。
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