花粉症って本当につらい? コンタック研究所が実験
はたから見ていてもつらそうな花粉症。でも花粉症にかかっていない人にとってはいまいちそのつらさが分からない。そんな人が花粉症にかかってみたらどうなるか? そんな実験を行ったのがグラクソ・スミスクラインのコンタック研究所だ。
いつも元気な隣の同僚がなんだか今日は調子が悪そう。何度も鼻をかんでいる。どうやら花粉症みたい――。
はたから見ていてもつらそうな花粉症。でも花粉症にかかっていない人にとってはいまいちそのつらさが分からない。花粉症にかかっている人には失礼だが、思わず「あんなに鼻をかんで仕事になるのだろうか?」「目がかゆいっていうけど、実際に仕事に影響がでるの?」と考えてしまったりする。
そんな人が花粉症にかかってみたらどうなるか? そんな実験を行ったのがグラクソ・スミスクラインのコンタック研究所だ。
翌々日にバレンタインデーを控えた2月12日、実験には5組10人のカップルが参加した。このカップル、いずれも花粉症と非花粉症のパートナーの組み合わせだ。いつも花粉症で苦しむパートナーを見ていた非花粉症のパートナーが、実験を通じて花粉症を疑似体験するのである。
疑似花粉症の実験は、目隠しと鼻栓を付けて飲み物や食べ物を当てるテイスティングと、PCで文章を書いている間に15秒に1回鼻をかむ動作を挟むことでどれだけ打鍵速度が落ちるかを計測した。
リンゴ? にんじん? かぶ? ナス? 答えは――
目隠しと鼻栓を付けてのテイスティングではまず、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、緑茶を当てる実験から開始。400人以上に聞いた事前の調査では「コーヒーと紅茶は違いが分かる」という回答が8割程度あったが、実際の実験では紅茶をコーヒーと回答してしまった人もいた。紅茶、ウーロン茶、緑茶の違いも判別が難しかったようで、中には用意していなかった「麦茶」と回答した人もいたほどである。
被験者全員に同じ食材を出したテイスティングでは、被験者の回答がそれぞれ「リンゴ」「にんじん」「かぶ」「ナス」「熟れる前の柿」と分かれてしまった。正解は、強烈なにおいで有名なドリアン。目隠し、鼻栓を取った後、思わず顔をしかめる被験者もいた。
実験に同席した五感教育研究所の荒木行彦主任研究員によると、「嗅覚を遮断すると、味の感覚が曖昧(あいまい)になる。味の感覚には実は嗅覚が相当関わっている」のだという。これは、のどごしでも味わえる飲料より、固形物の方がより顕著で、「風邪をひくとごはんがまずくなる感覚と一緒」なのだ。
ヒューマンエラーの原因にもなりかねない
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仕事の生産性への影響はどうだろうか。15秒に1回鼻をかむ動作を挟むタイピング実験では、以下のような結果になった。
被験者 | 通常のタイピング(3分間) | 鼻をかみつつタイピング(3分間) |
---|---|---|
めぐみさん | 135文字 | 127文字 |
じゅんいちさん | 72文字 | 82文字 |
まことさん | 169文字 | 147文字 |
ともみさん | 211文字 | 151文字 |
あやさん | 139文字 | 134文字 |
中には速くなっている人もいるようだが、おおむね1割程度のダウン。通常のタイピングが211字と最も速かったともみさんは、「ティッシュを取りに行き、鼻をかんだら、どこまでタイピングしていたのか忘れちゃいました」。鼻をかむ動作で集中力が途切れた結果、鼻をかみつつのタイピングでは151文字と3割減となってしまったのだ。
前述の荒木氏は「鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどでイライラしたり、睡眠不足になる。実際の仕事の現場でも、片手にティッシュを持ちながらでは生産性だけでなく、ヒューマンエラーの原因にもなりかねない」という。
実験を終えた被験者は――「味覚だけでなく、五感全体で感知することに驚いた。花粉症の人は大変なんだなあ」「花粉症、花粉症とマスコミがなんで大騒ぎするのかが分からなかったが、(今回体験して)分かった。食べ物がおいしく食べられないのはつらい」。目隠しと鼻栓でできる疑似花粉症体験。花粉症ではない皆さんも、一度体験してみてはいかがだろうか。
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