WBCで感じたWebニュースの見られ方:誠 Weekly Access Top10(2009年3月14日〜3月20日)
WBC決勝戦が行われた3月24日、ビックカメラ有楽町店では店頭のテレビで観戦するビジネスパーソンで黒山の人だかりができていた。筆者はその様子がWebニュースの見られ方とよく似ていると感じた。
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先週最も読まれた記事は「現場で感じた……“週刊誌離れ”が進む理由」。2位は「16連射、ゲームは1日1時間の裏側――高橋利幸氏、ファミコンブームを振り返る(後編)」、3位は「『真相報道バンキシャ!』は、なぜウソを見抜けなかったのか?」だった。
とはいえここ数日、世間で一番話題になったニュースはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だろう。日本が優勝を決めるまでの9試合のうち5試合が韓国戦だったことから、マンネリにもなりそうなものなのだが、それでも多くの人は興味を持って観戦していたようだ。WBCの米国ラウンドでは、時差の関係で日本時間の昼間に試合が行われたため、ビジネスパーソンの中には仕事の合間に速報サイトをのぞいたり、外回りの途中でワンセグや電器店のテレビにかじりついていた人も多いだろう。
その例に漏れず、ミーハーな筆者も決勝戦の様子を見ようと、会社近くにあるビックカメラ有楽町店を訪れた。9回表という緊迫した局面で訪れたため、店内は黒山の人だかりで、試合の模様を映すテレビが視界に入らない。そんな風に試合を満足に見られない人は筆者だけではなかったのだが、それでもその場所にいる人が多かったのは「試合を見ること」だけが目的ではなく、「試合を見ること+雰囲気を感じること」が目的だったからなのだろう。
その様子を見ていて、「あるものを見る時にそれだけを見るのではなく、それを含めたコミュニティを利用する」というのはWebニュースの形に近い、と感じた。ある記事を読んで、うれしかったり疑問を感じた時、はてなブックマークや2ちゃんねる、mixiニュースの日記、Yahoo! ニュースのコメントなどを確認する人は少なくないだろう。
そうすることで、試合に勝った時のうれしい感情を共有するのと同じく、ニュースで感じた喜怒哀楽を2ちゃんねるで共有できたり、隣でつぶやく野球マニアの解説を聞けるのと同じく、よりニュースに詳しい人の補足をはてなブックマークで得られたりするかもしれない。また、近所の店にテレビを見に行ったり、スタジアムに観戦しに行ったりと現実世界でコミュニティに参加することに比べると、Webのコミュニティにアクセスすることははるかに簡単だし、より多くの人が参加している。
Webニュースはそれ単独で質が劣るものであったとしても、そのニュースを取り巻くコミュニティ全体として見ると魅力あるコンテンツになり得る。それは、2ちゃんねるまとめサイトの人気の高さからもうかがい知れるだろう。
一方、もし読者がニュース単独ではなく、ニュースを取り巻くコミュニティ全体を見るようになるならば、ニュースの伝え手としては記事の書き方が変わることになる。一次情報を踏まえた展望などを記者よりも事情に詳しい人々がコミュニティで議論するのなら、記事では議論の材料となる一次情報だけを詳細に書くように努めた方がいい(もちろんコミュニティが常にその役割を果たしてくれるかは疑問だし、「叩き台」としての文章は必要かもしれないが)。伝え手の変化が求められている時代なのかもしれないなと思いつつ、こそこそ職場に戻る筆者であった。
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