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なぜチロルチョコは成功したのだろうか?(2/2 ページ)

1辺わずか3センチに満たない正方形のチロルチョコ。コンビニなどでついつい手を伸ばし、買ってしまう人も多いのではないだろうか? そこでチロルチョコの誕生経緯や人気の秘密に迫った。

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人気を保ち続ける秘けつは

 3代目社長の松尾利彦氏は、次なるチャネルとしてスーパーも検討しているようである。現在の市場環境を考えると、売り上げの主力チャネルとなっているコンビ二エンスストアも店舗数が伸び悩み、飽和状態となっている。

 また最近では、コンビニエンスストアの棚を見ると、チロルチョコのサイズの低価格のお菓子をよく散見するようになった。このように市場が飽和し、競合商品がひしめく中で、同社が行っている施策とは何か?

 その施策は、自社商品ライフサイクルを短縮化させることである。これは製造個数を制限し、市場に商品を投入する。そしてその商品が売り切れると、新たな商品を投入するというサイクルを繰り返し、商品の飢餓感を出すというものである。

 自社商品のライフサイクルを短縮させるといっても、誰でもできるわけでない。次々と斬新な商品を市場に投入できる秘けつを社長は、以下の3点だと指摘する。(1)自分たちが「楽しい」「斬新さ」がないと商品を売らない、(2)設備投資を惜しまない、(3)賞与を完全業績連動型にしている。

 (1)に関して、松尾社長は次のように語っている。

 「商品を作る際には、遊び心が必要。お菓子が本来提供しなければならない楽しさや新しさが消費者に評価されているのだと思う。映画、絵画、音楽などすべて同じだと思う、やはり作り手が楽しいか、楽しくないか、気持いいか、気持ちよくないかという想い、愛情、思想、魂がないと消費者に伝わらない。僕自身も、自分でおもしろいと思うものしか商品にしていない」

 また(3)に関しては、「社員が自発的に商品開発に取組む風土にするために年2回の賞与は完全業績連動型にしている」と語っている。

 このような社長の哲学及び組織風土あるからこそ、次々とワクワクするような商品が生まれ、また斬新なパッケージやデザインが生まれるのだろう。このワクワクドキドキさせる味・パッケージ・デザインでも消費者に驚きを与え続け、決して飽きさせない。そのための商品企画には膨大な時間が費やされるという。社長の哲学は社員にも浸透している。社長の確固たる商品哲学、その哲学を受け継いでいる社員。このような風土があるからこそ、次々とつい手を出したくなる商品が生まれる。

 47年前に生まれたチロルチョコ。長方形の形から正方形に形を変え、さまざまな購買層の笑顔を作ってきた。今度は、どのような商品で我々の笑顔を作ってくれるのだろう。(笠井清志)

 →笠井清志氏のバックナンバー

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