インタビュー
朝日を襲撃した実行犯、相撲の八百長……。それでも週刊誌が売れなかったワケ:集中連載・週刊誌サミット(4/4 ページ)
「スクープは編集者が決めるものではない。読者が決めるもの」というのは、『週刊ポスト』の海老原元編集長。かつてアニータのヌードであれば「絶対に売れる」と判断したが、それは編集者の独りよがりだったようだ。
週刊誌ジャーナリズムはフリーライターが築き上げた
出版業界は厳しい状況が続いていて、さきほどから現役の編集長は「つらい」と話していたが、その気持ちは本当によく分かる。僕の時代はマタを広げて、ちょっと毛を出していれば売れていたが、今は厳しい時代だ。
僕が編集長のときにヘアヌードを止めたが、それは時代の流れで、今ヌードをやっても誰も買ってくれない。だから次に売れるものは何か、というのをやらないとダメだ。週刊誌ジャーナリズムというのは編集者ではなく、フリーライターの人たちが作ってきたといってもいい。それも田原さんや佐野さんのように超一流の人たちではなく、署名で書かない取材記者の人たちが、雑誌ジャーナリズムを築き上げてきた。
今、Googleという“ティラノザウルス”のような恐竜が火を噴いて、歩いている状態だ。週刊誌は恐竜時代の“哺乳類”のように小さくなって、とりあえず生き抜いて、環境が変われば人類が現れてくるのを待てばいい。デジタルについて僕らは分からない世代なので、若い人たちに出版社に来てもらって、週刊誌を継いでいってもらいたい。とにかく止めたらダメだ、と思う。
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