著者プロフィール
川口雅裕(かわぐち・まさひろ)
1988年リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。人事専門誌・業界誌・一般誌などにも人事関連分野で多く取り上げられていただき、ラジオ番組のレギュラーを持っていたこともあります。京都大学教育学部卒。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ」
タイムマネジメントの本質は、重要な課題や効果的な業務に時間を使うことと、自分の人生を豊かにするために時間を使うこと。
時間管理は、将棋においてもとっても大切で、時に時間の使い方が勝負を分けてしまうこともあります。将棋専門紙やテレビの解説を見聞きしていると、プロ棋士の時間管理のポイントは次の3つにあるようです。
1つは、時間を使わないためには「準備や研究が大切」ということ。他の棋士が指したことを知っていてそれを既に研究している、その場面を想定して準備してきたという状態と、初めて出くわす場面について考えるのでは、使う時間に大きな差がつきます。知っているのだから時間を使わなくても、確認程度で済むので早い対応ができます。知識の力で時間を節約し、大切なところだけじっくりと腰を落として考えることができます。
2つ目は、「そうはならない」という前提を持つこと。プロ棋士というのは、読もうと思えば、極端に言うといくらでも読めるそうです。だからと言って、読んでいると時間が減っていきます。そこで大切なのは、「いくら読んだって、相手のあることなのでその通りにはならない」と考えて、読むのを止めることが重要なのだそうです。深く読むよりも、どこで読むのを止めるかが大事。相手がそう指さなかったら読んだ時間は意味がないわけで、完璧に読もうとすることは、時間が減った分、かえってリスクになります。
3つ目は、「相手よりも多く時間を残しておく」ということ。最初は、時間が2人に平等に与えられています。考えれば考えるほど減っていくわけですが、最初の構想、計画段階で考えすぎると時間を使いすぎてしまって、終盤になって時間がないために間違うことが(プロでも)あります。将棋は終盤になればなるほど一手の価値が高くなると言われているので、時間の無さが致命傷になることもあるわけです。だから、大事なところで相手より多く考えることができるように時間を残しておくのがポイントだそうです。
- 知識の力で、時間を節約する
- 完璧を目指したり、考えすぎたりして、時間を浪費しない
- 重要なプロセスに、時間を使えるようにしておく
これらは、いずれもビジネスの時間管理術に通じるところがあります。経験や学びを蓄積・共有することにより短時間で準備ができる、考えすぎや完璧主義を廃し、時間を切って仕事を仕上げるようにする、結果として本当に重要な課題に十分に時間を使うことができるようになるということです。(川口雅裕)
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