コラム
なぜコンビニはおにぎりを100円にするのか? “損して得取れ”の戦略(2/2 ページ)
コンビニ各社が“おにぎり100円セール”を実施している。コンビニ業界ではタスポ効果が薄れ売上拡大に躍起になっているが、なぜおにぎりの値下げに踏み切ったのだろうか?
なぜ、コンビニはおにぎりを戦略商品と位置付けたのか?
スーパーなどの小売業では赤字覚悟の目玉商品を用意して、お客様を呼び込むロスリーダー価格政策というマーケティング戦略が一般的に取られる。例えば、たまごや牛乳などに赤字覚悟の驚くほど安い価格設定を行い、買い物客のついで買いを誘うマーケティング戦略だ。
売り手側が目玉商品を決定する際には高いものを驚くほど安くするという選択肢もあれば、日常欠かせない商品をさらに安くするという選択肢もある。いずれにしろ目玉商品自体では利益が上がらないために、ついで買いを誘いやすい商品を選択することがロスリーダー価格政策を成功に導く重要なカギとなる。さもなくば、目玉商品だけを目当てに来店する“チェリーピッカー”を喜ばすだけの結果となるだろう。
このようなロスリーダー価格政策の観点から考えれば、おにぎりというのはコンビニにとっては戦略商品としては最適のチョイスと言える。
単価が低く、不況で財布のヒモが堅くなった消費者の購買意欲をそそる可能性も高い上に、おにぎりだけでなく、おかずとなるお惣菜や食事の際にのどを潤すお茶など関連する商品の売り上げも期待できるからだ。
コンビニ各社の「おにぎり100円キャンペーン」は、値下げにより主力商品であるおにぎりの売り上げや利益は下がる可能性も視野に入れた上で、関連商品のついで買いを誘って業績を上げていく“損して得取れ”戦略とも言えよう。(安部徹也)
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