すぐに打ち解ける必要なんかあるの? コミュニケーションの真実(2/2 ページ)
「自分はコミュニケーション下手」と悩んではいないだろうか。しかし「コミュニケーション下手」と「しゃべり下手」を混同している人も多く、そういった人はちょっとしたことで“変身”することもできるはず。その変身する方法とは……?
戦いの場では「心理戦」が重要
私のようなコラム弁慶は、PCに向かえばいくらでも毒舌できますが、面と向かった日にゃ、えらい好々爺(「スキスキじじい」ではない)ぶりです。スキがあれば人と接するより1人部屋にこもって、10年前のプロレスビデオをDVD化するというエンドレス作業をしていたいクチです。
もちろんお仕事ですから、大学や企業さんでの授業やセミナーでは何百人も相手にして、ポケットに片手をつっこみつつ、「いいですか、皆さん。コミュニケーションの要諦(ようてい)はストラテジーにあり、ですよ。ここが押えられなければ何も始まらないんです。私に騙(だま)されなさい!」と、エラソーな話をしています。
つまり私自身、使い分けているのです。打ち解けて話をしたり、コミュニケーションを積極的に取る自分(仕事モード)と、1人で部屋にこもることが楽しくて仕方ない自分(プレイベートモード)の2つを。これをどちらも共通できるようにすれば、能率は上がるのでしょうか? 私は無理だと思います。
私の母は社交性の塊のような人間です。東京の下町の商店街のおばちゃんなので、それが普通なのですが、初対面の人と平気で長話できます。私はその遺伝子は一切受け継いでいません。……ということは、本当の母は、どこ?
私の本当の母はともかく。要は目的にかなうかどうか、が要諦なのです。「交流すること」が目的なら、不本意でも愛想良くふるまわなければ目的達成できません。しかし単にパーティの場にいるから、「交流できなければダメ人間」という価値観はどうなのでしょう? そもそも興味なければ出なければ良いのでしょうが、ビジネスパーソンなら、不本意でも、義理で、仕事で、出なければならない宴席は必ずあることでしょう。
「パーティに出ること」が目的なのであれば、「出れば」良いのです。「出た」だけでなく、さらに打ち解けて交流するかどうかは、この価値判断とは別物です。ここを一緒にしてしまうと、不必要な自信喪失や自己嫌悪になるのです。
堂々と、「お仕事なんでパーティに出まっす。打ち解けて話とかできない人間ですが、何か?」と開き直りましょう。だって義理は果たせたんでしょ? あなたはちゃんとお役目を務められたヒトですよ。
戦いの場では「心理戦」が極めて重要です。マインドゲームで負けてしまっては、戦いの勝利はあり得ません。自分の心を、自ら折る、というのは一番もったいない結末です。堂々と非社交性を発揮しましょう、仲間の皆さん。(増沢隆太)
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