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コラム

“ブランド”ではなく“雰囲気”――無印良品の強みとは郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

1980年に始まり、徐々に支持を獲得してきた無印良品。幅広い世代の人気を集めているが、無印良品の魅力とは何なのだろうか。9月18日にリニューアルオープンした池袋西武店を訪問して、その理由を探った。

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世界のMUJIスピリッツ商品

 入店客で大にぎわいの中、片寄さんの先導で売り場をめぐる。もう1つのメインエントランスでは「Found MUJI」というコーナーが展開されていた。無印良品のスピリッツに響く世界の良品約130アイテムをセレクトしたコーナーだ(オープン記念期間だけの取り扱い)。

 ガーデニング用品ではジョウロがとても良い雰囲気。亜鉛メッキの素材感が庭園風景になじみそう。英国の業務用食器(チャーチルチャイナ)はどっしりしている。裏面まで釉薬(ゆうやく)加工していて傷つきにくくなっており、業務用ゆえの心づかいが感じられる。ドイツの福祉作業所で製造した手作りブラシは、丁寧な造りと頑固さが印象的だ。

ムダのない、自分だけのもの

 バッグ売り場では本革のトートバッグが手ごろな価格で並んでいる。「なぜこんな値段が実現できるんですか?」と尋ねると片寄さん、「残反・残皮・残糸を活用します。ムダを出さないのも無印良品の考え方です」

 余った皮で仕立てているため、トートバッグをよく見るとツギハギがある。皮製品だけではなく布製品や糸製品も、“余りを活用”することが無印のお家芸である。製造過程での切り落としを利用した付せん紙もお買い得品。「使い切る良さ」という心がある。片寄さんが発音した「ザンタン」「ザンピ」「ザンシ」というフレーズ、私も舌で転がしてみると、それだけで心地良くなれた。

 振り向くと、「柄にアクセサリーを付けられる傘」があった。何の変哲もない傘に“私の印”が付けられる。「“デコれる”のは無印良品の魅力のようです。文具も無地のカバーやノートだからこそできるんですよ」と片寄さん。デコれば“どこにでもあるけれど どこにもないもの”ができる。


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