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スタバ、インスタントコーヒー発売の危険な賭け(2/3 ページ)

その名を「VIA(ヴィア)」という。スタバが米国で新発売したインスタントコーヒーである。あえてカニバリゼーションにつながりかねない商品展開に踏み切った背景は何なのだろうか?

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カニバリゼーションは起こさないのか?

 こうした商品が出た場合、まず頭に浮かぶのはカニバリゼーションリスクである。この商品ヴィアは「スタバの味(それもシュルツ氏の奥さんが見分けられないぐらいおいしい)を、店で飲む場合の半額以下で味わうこと」ができる。しかも粉末インスタントとあれば、フィルターを使って手間をかけてドリップする必要もない。

 時間がかからず、お金もかからず、しかも味は本当のスタバ並み。となれば、わざわざスタバ本来の高いコーヒーを買う理由がなくなってしまう。もちろんスタバの売りといえばコーヒーの味に加えて「サードプレイス※」もある。だからヴィアが登場したからといって、店まで出かけていってコーヒーを(あるいはコーヒーと過ごす時間を)楽しむ価値は減価しないと思う。

※サードプレイス……職場でもない、家庭でもない、第3の場所という意味。

 が、少なくともスタバで売っている豆を買って帰って、家で入れて飲んでいた人の中には、安いヴィアに乗り換える人が出るだろう。もしこうした事態が起こるなら、明らかなカニバリゼーションである。

そんなことは想定済み?

 しかし「シュルツCEOは『品質は高く、店舗で出すコーヒーとも食い合わない』と意に介さない(同紙)」らしい。本当にそうなのか。シュルツ氏が実際にこう述べたというのなら、このコメントはあまり論理的だとはいえない。ヴィアの品質が高ければ高いほど、店舗で出すコーヒーと食い合う可能性は考えられてしかるべきだろう。

 それでも店舗と食い合わないと主張するのなら、「コーヒープラスアルファの魅力が店舗にはあるからだ」というのが本音ではないのだろうか。つまりサードプレイスの役割である。当然このポイントは考えていたはずで、だからスタバは原点回帰をしていたという話があり、その結果として7〜9月期には回復基調という記事があった(日経MJ新聞2009年11月8日付1面)。

 なるほど、きちんと手は打っていたというわけだ。

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