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コラム

ユニクロが作り上げた“一人勝ち”の仕組み(2/3 ページ)

日本全体が不景気の中で、ほとんど一人勝ちと言えるのがユニクロ。ユニクロといえば、そのビジネスモデルやマーケティングが注目されるが、その偉大なる変革者としての姿を見落としてはいないだろうか?

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すべての日本人にユニクロを

 10年ほど前にユニクロがフリースで爆発したとき、スーパー各社が後追いで同じような製品を売り出した。少しだけ価格を安くしたり、あるいは少しだけデザインに凝ってみたりといろいろやってはみたが、結果的にはすべて淘汰されてしまった。

 ユニクロ自体も決してずっと順風満帆だったわけではない。フリースの大ヒット以降は、経営陣の入れ替えがあったり柳井氏が復帰したりでごたごたした時期もあったのだ。が、数年前から同社は戦略的に明らかな方向転換をしたのではないだろうか。

 その新しい戦略についての仮説はこうだ。「ユニクロがこれからの日本人のファッションライフをリードする」。極端な話、フォーマルウエアや女性のオシャレ着、ビジネスウェアや作業服、制服などを除く服装はすべてユニクロが提供する。傲慢といえばその通りかもしれないが、それくらいの意気込みを感じる。

 普段着やカジュアルウエアなどは基本的にユニクロでまかなってもらう。すなわちすべての日本人が、生活時間の半分くらいはユニクロを着て過ごすような世界を創りあげる。そんなこと、ひと言も言ってないけれど、きっとそうだと思う。

商品戦略とイメージ戦略の連動

 もちろんユニクロがバリバリにファッショナブルかというと、それはさすがに「?」が付くことは否めないだろう。だからといって今やユニクロを「ださぁ〜」などとけなす人も決していないはず。これがユニクロの恐ろしさなのだと思う。

 何を言いたいのかといえば、ユニクロはそういう風に日本人の意識を変えてしまったのだ。

 これぞ巧みなマーケティング戦略のなせる業。価格の割に極めてクオリティの高い商品を提供し続け、同時に地味だけれども「それ欲しかったんだ」と言わせるファッションアイテムも出してきた。進化したフリース、女性から圧倒的な支持を受けたブラトップ、足長ジーンズにヒートテックなどがそうだ。

 それら差別化要素を備え、商品力そのものが強い商品を、さらに巧みでカラフルなイメージ広告でお化粧した。その結果、今やほとんどの人が「とりあえずユニクロを着てさえおけば、まあOKなんじゃないの」くらいには思っているはずだ。

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