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コラム

電気自動車に乗ればCO2が増える? ドイツのジレンマ松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

今でこそ電気自動車(EV)の話題を見聞きすることは珍しくないが、10年ほど前には“近未来カー”といったイメージを抱いている人も多かったのではないだろうか。今回の時事日想は自動車大国・ドイツでの、EV事情に迫った。

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EVが増えればCO2の排出も増える

 さて、エコカーとして脚光を浴びているEVだが、ドイツは発電に石炭と褐炭を多く使っているため、EVが増えるほどCO2の排出が増えるというジレンマも抱えている。この点、協会としてはどのように考えているのだろう。

 設立当初からのメンバーであるベルント・リッシュ氏によれば「確かにそういう問題もありますが、協会の目標はEVの普及にとどまらず、その先にある再生可能エネルギー社会を実現することです。例えば、学校の屋根に太陽電池を設置するプロジェクトを行っています」。協会の名称には「ソーラーカー」とあるが、ソーラーカーのみならず広くEVの利用を促進し、化石燃料に代わるエネルギー(特にソーラーエネルギー)について市民の理解を深めることが協会の目指すところだ。

 もちろん、協会が太陽電池を設置したところで社会が大きく変わるわけではないが、市民の立場から可能な範囲で啓蒙活動を続けているということ。協会では各種催し物(例えば市のエネルギーデー)に参加し、協会と協会員の所有するEVを展示している。

 最盛期には170人を数えたカールスルーエ・ソーラーカー協会の会員も、現在は40人ほどに減っている。大手自動車メーカーがEVの開発に乗り出した今、カールスルーエ・ソーラーカー協会としては1つの段階をクリアしたと考えているそうだ。


市のエネルギーデーにEVを展示

赤いEV(Hotzenblitz Mobile 社製)のスペック

項目
全長 2900mm
全幅 1480mm
高さ 1500mm
モーター出力 12kW
重量(バッテリー込み) 790kg
最高速度 110km/h
0-60km/h加速 5.8秒
定員 2名
走行可能距離 約30-120km
100kmあたりの電力消費量 約18kWh(約3.60ユーロ)

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