日本からもツアー客が訪れる、レトロなクリスマス市:松田雅央の時事日想(2/2 ページ)
クリスマスの4週間前になると、ドイツやオーストリア、スイスなどのドイツ語圏を中心にクリスマス市が始まる。このイベントには海外からのツアー客も訪れるが、今回の時事日想ではカールスルーエのクリスマス市を紹介しよう。
レトロが人気
そこで注目されているのが、昔を再現したレトロなクリスマス市だ。時代は自由に設定できる。例えばドレスデンのレトロなクリスマス市は20世紀初頭をテーマとし、屋台の看板から飾り付けまで統一感を持ってコーディネートされている。日本に例えれば、さながら「明治時代の雰囲気を持ったテーマパーク」のようなものだろう。
筆者が住むカールスルーエ市ドゥーラッハ地区の広場で数年前から開かれているのは中世をモチーフにしたクリスマス市だ(関連リンク)。
グリューワインの飲める屋台は中世の酒場風。大道芸人が手品を披露し、所々に暖をとるためのマキがたかれている。店員はもちろんすべてのスタッフが中世の衣装をまとい、古風な言葉遣いをする念の入りようだ。
中世を体験
出店は飲食店と手工芸の店が多い。運営者の職業はさまざまで、これをなりわいとする人もいれば趣味の参加もある。飲食店の場合は純粋に商売として店を出す業者が主になり、手工芸の店は「中世の催し物専門に出店する職人」「普段は工房で作業をしている芸術家」あるいは「愛好者団体」の場合もある。クリスマス市の呼び物となる伝統工芸品のデモンストレーションや工芸品教室は収益を上げるためのものではなく、その運営費は主催者(市)が支払ってくれる。
炭とふいご(金属などを加工するとき、火力を強めたりするのに使用する送風装置)を使い小物のナイフを作る写真の鍛冶屋は、こういった催し物でのデモンストレーションをなりわいとし、毎年十数カ所、全国各地に店を出しているそうだ。「必ず中世のコスチュームを着るのですか?」と聞いたところ「これはコスチュームじゃないよ、仕事着さ(笑)」。彼は自分の履く木靴を指差し「ハンマーを落としてもケガしない安全靴を履いているよ」。その隣では、やはり中世の衣装を着た女性が鉄片にイニシャルを刻印してネックレスを作り販売していた。彼女の本業は幼稚園の先生で、ここには手伝いとして来ているそうだ。
読者の皆さんもクリスマス時期にドイツ、オーストリア、スイス、フランス・アルザス地方を訪れる機会があれば、ぜひレトロなクリスマス市を訪れてほしい。普通の観光では味わえない、ヨーロッパの新たな一面を発見していただけると思う。
関連記事
- 今年のクリスマス……20〜30代の男性は“控え目で献身”
クリスマスの過ごし方について、女性はどのような期待を寄せているのだろうか。 20〜30代の未婚女性に聞いたところ「2人だけの『時間』を大事にする」「相手がほしいものをプレゼントする」「2人の特別な『思い出』」などが上位にランクインした。ヤフーバリューインサイト調べ。 - アラサーとアラフォーに聞く、結婚を決めるためにナニが足りない?
あなたはいま、結婚を考えている相手はいますか? アラサーとアラフォーの未婚男女に聞いたところ、「真剣に考えている相手がいる」と答えた人はわずか7.7%だった。ネットマイル調べ。 - クリスマスプレゼントをめぐる男女の“食い違い”とは?
彼女が欲しいプレゼントを彼氏は贈っているのか? 手袋やマフラーをあげる予定の男性は、考え直した方がいいかもしれない。楽天リサーチ調べ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.