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コラム

2010年は「カーシェアリング元年」になるか神尾寿の時事日想(2/3 ページ)

環境意識の高まりと、クルマの利用ニーズの多様化。これらを受けて、クルマや自転車のシェアリングサービスが活発化してきている。カーシェアリングは新たなクルマ利用スタイルとして、どこまで広がっているのか。そして、カーシェアリングの周辺ビジネスはどこまで拡大するのか。各社の取り組みを見ていこう。

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カーシェアリングで、クルマ購入を促す!?

 カーシェアリングというと、“クルマを買わないためのサービス”という見方が一般的だ。それに対して、カーシェアリング利用の促進がクルマ販売の“地ならし”になると見るのが、中古車販売大手のガリバーインターナショナルや、ドイツ車メーカーであるアウディグループと住友不動産のカーシェアリング事業だ。

 まず、ガリバーインターナショナルの「Gulliverカーシェアメイト」だが、このサービスでは同社が手がける中古車をシェアリング車両として用いて、住宅地や賃貸住宅に貸出ステーションを積極的に展開している。これは「(会員に)さまざまなクルマに乗ってもらうことで、まずはクルマに乗る機会を提供したい」(ガリバーインターナショナル)という考えからだ。特に重視しているのは、クルマ離れが進んでいる都市部の若者層で、2009年10月には単身者向け賃貸アパートを多く手がけるレオパレス21と提携した「レオガリバーカーシェアリング」を始めている。


Gulliverカーシェアメイト公式Webサイト

 「若者のクルマ離れが起きると、大きな影響を受けるのが(若者が最初に買うことの多い)中古車販売なのです。我々にとって一番困るのは、若者がまったくクルマに乗らず、クルマから遠ざかってしまうこと。カーシェアリングの会員がすべて(中古車)販売に結びつくわけではありませんが、気軽にクルマに乗れる環境をカーシェアリングで用意し、その(会員の)中から将来『やっぱりクルマを購入したい』というお客さまを作りたい。そして、クルマを買う時にはガリバーから買っていただきたいと考えているのです」(ガリバーインターナショナル)

 こうした狙いもあり、先述のレオパレス向けの貸出ステーション展開のほかにも、「将来的には大学キャンパスなどに貸出ステーションを置き、スポーツカーなど若者にいろいろなクルマを楽しんでもらえる環境を作りたい」という。

 一方、富裕層向けのカーシェアリングでブランド訴求を行うのが、アウディ ジャパンとアウディ ファイナンシャル サービス、住友不動産が取り組む「アウディプレミアムカーシェアリング」だ。

 こちらは東京都港区の泉ガーデンのレジデンスまたはオフィス入居者専用のサービスで、主なユーザーは外国人エグゼクティブ、経営者層、医者、弁護士などの富裕層になっている。アウディは、本国ドイツではメルセデスベンツやBMWに比肩する高級ブランドだが、日本ではブランド構築の歴史がベンツやBMWより浅く、その訴求力はやや弱い。そこで富裕層がカーシェアリングで気軽に乗れる環境を用意することで、アウディの認知度向上とブランド訴求を行うのが狙いだ。

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