開発援助はどっちがいいの? ダムそれとも裸電球:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
先進国からの経済援助、ODA(政府開発援助)の王道アプローチはインフラ整備。しかし、あるニュースを目にしたちきりんさんは別の方法もあるのではないか、と説きます。その方法とは。
もしかしたら、こっちもいいのかもね
バルキさんのニュースを見た時、ちきりんはすばらしいアイデアだと思いました。インドは暑いというより“熱い!”。その熱の供給源である太陽を発電に利用し、しかも、裸電球ならその日から夜が明るくなる。大金持ちでなくても電気が使える。どこから見てもいいアイデアだと思いました。
しかし、“非効率”という見方もあるでしょう。「こんな方法では根本的には何も変わらない」とも言えます。ちきりんは、もともと途上国支援の草の根ボランティアやNPOにあまり関心がありません。やっぱり非効率と思うからです。なので、途上国支援をするなら個別の家や個人を助けるのではなく、「絶対インフラ整備アプローチの方が正しい」と今までは思っていました。
でも、バルキさんのニュースで、家についた裸電球に驚愕し、満面の笑顔を見せる大家族の人たちの笑顔を見ていて、ちょっとだけ考えが変わりました。「もしかしたら、こっちもいいのかもね」と。工場勤務の生活や、電化された生活に、無理矢理、世界中の人を巻き込まなくても、裸電球1つの家族の夜もあってもいいかもしれない。いや、いつかはそういう村も変わってくのだろうけれど、そんなに無理矢理に開発する必要があるんだろうか、と。
「大規模インフラ開発」と「裸電球による今日の明るい夜」、おそらくどちらも必要です。問題は、「どうミックスしていけば良いのか、どう使い分けるべきなのか」ということなのでしょう。しかし少なくとも、「開発経済の基本=インフラ整備」という、極めて強固に信じられている原則が「本当にそうか?」という視点は必要かもしれない、と感じました。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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