正社員と非正社員の間に“差”――2010年度の給与事情
2010年度に賃金を引き上げる企業はどのくらいあるのだろうか。正社員の賃金改善が「ある(見込み)」と答えた企業は31.8%だったが、「ない(見込み)」は40.5%。依然として厳しい状況が続きそうだ。帝国データバンク調べ。
2010年度に賃金を引き上げる企業はどのくらいあるのだろうか。帝国データバンクの調査によると、正社員の賃金改善が「ある(見込み)」と答えた企業は31.8%であることが分かった。一方「ない(見込み)」と答えたのは40.5%と、「非常に厳しい賃金動向が続くと見込まれている」(帝国データバンク)と分析した。
「ある」と答えた企業を業界別で見てみると、「農・林・水産」(42.1%)が最も多く、次いで「サービス」(34.6%)、「卸売」(34.2%)、「製造」(33.7%)、「小売」(31.8%)と続いた。一方「ない」では「建設」(49.1%)、「不動産」(43.9%)、「運輸・倉庫」(43.3%)が上位にランクイン。企業からは「2010年度は先行きが見えず現状維持が精一杯」(広告関連サービス)や「改善するのは初任給と55歳以降の賃金で、そのほかは資格・能力に応じた評価給での運用に変わりはない」(金融)、「デフレ傾向が強く、0%でも実質賃上げと考える人が多い」(輸送用機械・器具製造)といった意見があった。
非正社員の賃金動向
非正社員の2010年の賃金動向はどのようになっているのだろうか。賃金改善が「ある(見込み)」と答えた企業は12.8%。一方「ない(見込み)」は54.3%と、2年連続で5割を超えた。「正社員以上に非正社員の雇用調整が進む中で、前年と同様に厳しい賃金状況が続いている様子が浮き彫りになった」(帝国データバンク)
正社員と非正社員との賃金格差について、どのように考えているのだろうか。企業からは「本来は個々人の業績評価を反映するべきだが、職種・評価の困難や平等公平性など難しさを含むため、べき論と実践論とではギャップが残る」(専門サービス)など企業経営における困難さを指摘する意見のほか、「格差が問題となれば人員を削減せざるを得ない」(スーパー)や「雇用確保のためには格差は必要だが、正社員の法的な過保護が非正社員にしわ寄せされている」(金属製品塗装)といった声があった。
1万651社が回答。調査期間は1月20日から1月31日まで。
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