オルタナティブな生き方が、社会の中で大きくならない理由:ちきりん×phaの「そんじゃーダラダラと」(6)(3/3 ページ)
決して正体を明かさない謎のブロガー・ちきりんさんと、日本一のニートを目指しているphaさんの対談6回目。いわゆる“オルタナティブ”的な生き方は、社会の中で大きな存在になっていくのだろうか。この質問に、ちきりんさんの答えは「否」。その理由は……?
シェアハウスを拡大しても
pha 僕はいまギークハウスというプログラマが集まるシェアハウスをやっていて、そこに3人で住んでいます。「このギークハウスをきちんとした組織にして、もっとたくさんギークハウスを作って会社として運営すればお金にもなるからどうか?」というお話をいただくことがあるんですが、迷うところですね。
ギークハウスを大規模化することは社会的に意義のあることだとは思いますが、そうしてしまうと面白さは減ってしまうでしょう。また面倒くさいタスクはたくさん増えるだろうし、それを思うとそんなにやりたいと思わないんですよね……。まあお金はもうかるでしょうけど。
僕は基本的に自分が生活している身の回りの範囲が充実すれば、それで満足してしまうところがあります。逆に自分の目で直接見たり直接手で触ったりできないような広範囲で、自分で直接声をかけて一緒に遊べないような人数の規模で、何か大きなことをやりたいという意志はあまりないですね。会社化するのは、誰か組織を大きくしたりするのが好きな人がやってくれないかなーと思っています。
ちきりん 例えば家賃が月9万円の部屋に住んでいたとすれば、1人当たりの負担が3万円。でも1人が抜けてしまうと、1人の負担が4万5000円になってしまう。すぐに入居したいという人が現れれば問題ありませんが、なかなか見つからなければ経済的に厳しくなるのではないでしょうか。
pha そうですね。その不足分については僕が負担していますね。なので普段は少し多めに集めていて、あまり赤字がでないようにしています。
ちきりん 例えば10軒運営するとなると、リスクを背負うことになりますよね。いや、多い方が楽なのかな。ポートフォリオ的にいうと……。
pha たぶん安定して運営するには10軒くらいあったほうが回りやすい気がしますね。組織を大きくして、人を集める仕組みをきちんとすれば赤字は出ないと思いますが、やっぱりだるいと思ってしまいますね……。
→第7回へ続く。
ちきりんさんのプロフィール
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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