コラム
若年貧困層が戦うべき相手は誰なのか?:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
「この年収では結婚もできない!」という、若年貧困層が掲げるスローガン。しかし、「それは戦う相手を間違えているスローガンだ」とちきりんさんは指摘します。
若年貧困層が本当に戦うべき相手は?
現在の中高年の中心である団塊の世代には、若いころの経験から「資本主義VS.社会主義・共産主義」という対立構造が染みついている人がいます。彼らはデモやアジテーションにも慣れており、若者が「デモをする」と言えば、いろんな指導をしてくれるでしょう。
しかし、ちきりんから見れば、その人たちが若年貧困層の不満を利用して、対立の構図をゆがめているのではないか、とも思えます。若者たちの怒りが自分たちに向かうことを避けるため、他の人たちに怒りが向かうように仕向けている、と。つまりは(ここでも?)若者は中高年に巧みにだまされているんじゃないでしょうか。
というわけで、ちきりんからのアドバイスは「戦う相手を間違えるな」ってことです。戦うべきは「成果に基づく報酬を受け取っている人」ではなく、「成果よりはるかに多い報酬を受け取っている人」です。その「成果よりはるかに多い報酬」を正当化している「年功序列賃金」制度を支持するようなスローガン(=「結婚できる給与を払え」)を掲げていては話が混乱するばかり、という気がします。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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