よく分からない“肩書き”に唖然としたことがあるみなさんへ(2/2 ページ)
人事異動のシーズンである。桜前線が北上するより早く、“肩書き”にまつわる悲喜こもごもが列島を駆け巡っているはずだ。しかし、そんな肩書きだが、意味が分からないものに遭遇したことがある人は多いだろう。
肩書きが複雑するワケ
このように肩書きが複雑化するのは、以下のような2つの傾向に分けられる。どれも、間違いなく勝手な大人の事情である。
1.微妙なヒエラルキー創造型
名刺を受け取る側からするとどうでも良いのだが、当の社内では「課長心得」か「課長」では、天と地の差がある。そういう会社では「あの課の課長より、こちらの課長のほうが少し上」とか「あの部長代理は、ほとんどこっちの部長と同格」といった多重階層を読み解く会話が日常的になされる。そうした微妙なヒエラルキー構造は、意志決定を遅らせ、若い人たちの上に、幾人もの複雑な関係の上司の壁を築くことになる。
2.自称型
「エバンジェリスト」である。元々は、宗教における“伝道師”の意味で、米Apple社のPC「Macintosh」のエバンジェリストであるガイ・カワサキ氏を通して有名になった概念だ。「自社の製品の直接的な効用や、それによってもたらされる市場性・経済効果・生活の変化などを、分かりやすく啓蒙する職種」らしい……。
名乗ったもの勝ちである。自称である。「他者」がそうだと認める前に、自分で言っちゃった肩書きがそのまま流通していくパターンだ。社内に微妙なヒエラルキーを作るぐらいなら、最初から「自称・肩書き」ばかりを作って風通しを良く見せておいた方が得策。この傾向は、ベンチャー企業に多い。
しかし、どっちにしろ意味の分からない肩書きの多い会社が永続的な利益を生み出していく優良企業になっていくとは到底思えない。なぜなら、肩書きが増えるということは、権限が分配されること。それは結局、責任も分散することになる。自社都合のヒエラルキーを名刺に乗っけたり、聞いても意味の分からない自称肩書きを名乗ったりするのは、私達は実は無責任なんですよと言って回っているようなものだ。
ちなみに、鳩山首相率いる民主党執行部は、代表(1人)、筆頭代表代行(1人)、次席代表代行(1人)、代表代行(3人)、代表代行補佐(5人)、筆頭副代表(1人)、次席副代表(1人)、副代表(3人)、筆頭副代表代行(1人)、次席副代表代行(1人)、副代表代行(3人)、副代表代行補佐(5人)、そして副幹事長にいたっては14人もいる……。うーん微妙である。ある意味、日本の縮図である。
政治家という肩書きに、さらに微妙なヒエラルキーを創り出す発想を根本から変えない限り、日本の再生は難しい気がする。(中村修治)
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