コラム
1日200人が見学、日本食研製造の“宮殿”工場に行ってきた:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/4 ページ)
工場といえば、殺風景な建物が定番。しかし、1日200人もの見学者が訪れるという日本食研製造の工場は、“宮殿”とモデルとした驚くべき建物。その全容をリポートする。
究極のたれ、ブレンド体験へ
「初夏に合うあっさり味、お願いします!」
一緒にツアー体験をしに来た女性記者の抽象的な特別注文に苦笑いしたのは、同社の調味料ブレンダーで商品開発部の細見拓雅さん。世界で1つのたれを作る体験。実に手早く、約50種の調味料から、しょう油、糖類、味噌、タマネギ、ニンニク、唐辛子……など次々投入。それも味見なしで!
「味見しないんですか?」
「はい。分かるんです」
それもそのはず、彼は社内の焼肉のたれコンテストで優勝し、商品化された『焼肉のたれ宮殿』の開発者。できあがり(下写真)は、左が焼肉のたれ宮殿、右が“細見さん初夏スペシャル”。醤油と味噌ベースの11種類の調味料ブレンド。味はどうだろうか?
「おいしい!」「うまい!」の声がこだまする。キリリでさっぱりのピリ辛がお肉のジューシーさを引き出す。「味のブレンドは足し算なんです」と細見さん。
ちなみに社内ブレンダー資格は1級から5級まで。彼は3級の資格者だが、3級に合格するためにはサンプルのたれと同じ味を「800種類(!)の調味料から2時間で作れ」という過酷な実技試験を突破しなくてはならない。社内で3級はわずか9人(1級はゼロ、2級は1人、4級と5級で約120人という狭き門)。29歳の彼は日本食研のエース開発者なのだ。
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