竹中工務店は5月13日、神鋼環境ソリューション、テラルと共同で、百貨店やホテル、複合ビル内のレストランなどから排出される食品廃棄物や厨房排水からバイオガスを生成し、エネルギー源として再利用する「都心型バイオガスシステム」を開発、近畿日本鉄道が2014年に開業する「阿部野橋ターミナルビルタワー館(仮称)」に採用されたと発表した。
同システムは、高層ビル内や再開発エリア内で、食品廃棄物や厨房排水、雑排水からエネルギーを得られるようにしたもの。各階に設けられたディスポーザー室から投入された食品廃棄物は配管を通ってメタン発酵システムに集められ、厨房排水や中水処理汚泥とともに固形分と液分に分離された後、固形分はメタン発酵槽へ投入、液分などは下水道放流基準に適合するよう処理したあと放流される。メタン発酵槽で生成したバイオガスは、精製後に都市ガスと混合してガスエンジンやボイラーなどの燃料として使用する。
ディスポーザーには計量装置が組み込まれているため、排出者ごとの食品廃棄物量を見える化することが可能。配管はポンプ圧送することにより、長距離横引き配管も可能となっている。また、臭気対策や防災・地震対策などを施すことで、都心部の高層ビルでも稼働できるようになった。
竹中工務店では、高層ビル以外でも、生ごみや排水の処理を必要とするショッピングセンターや食品工場などに向けて同システムを提案していく計画だ。
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