ミラノサローネ2010、デザイナーが考える「Eco」（2/3 ページ）

ミラノサローネ2010レポート。エコロジーはもちろん世界的、全業界的なテーマ。ミラノでもここ数年、デザイン、製品、展示でエコを意識していないブースはない。

[本間美紀，エキサイトイズム]

　また建築とインテリアを一体化させたオフィスシステムで、環境貢献を考えた建築家がいる。ジャン・ヌーヴェル氏だ。

　イタリアのMethisから発表した収納家具システム「hook」は、建築の内装のように使える、細かなスリット板。これにはその名のとおり、フックでシェルフやキャビネットがつり下げられる。

　「オフィスのインテリアを壁という機能に捕われることなく、建築をつくる、という発想で考えた。表面は波形で、強度とデザインを両立させる。この金属の構造は壁と同じ色で塗装し、建築と一体化させることもできる」とヌーベル氏。

　この構造はアルミやガラスなど再生可能な素材で製造した場合の、耐久性も確認されている。遮音、耐火性にすぐれ、調湿機能、空調の効果を妨げることなく、快適な状態を維持するのに効果があるという。

　つまりオフィス家具の組み替え式収納でありながら、それ自体が建築の機能に一役買う多機能な建材でもある。室内のレイアウト変更の度に無駄な家具や内装材がでることなく、組み替えるだけでいい。

　収納のシステムがこれまで「室内」にしか目をむけていなかったのに対し、これは、建築全体や環境から考えられた製品といえる。