コラム
事業仕分けに見る、「変える」を徹底する難しさ(2/2 ページ)
事業仕分けは、行政事業レビューとして各省ごとの事業仕分けへと広がりを見せるなど、効果的な手法と受け止められているようだ。しかし、事業仕分けは万能薬ではなく、使われ方によっては単なる偽薬に過ぎないガマの油かもしれないと筆者は主張する。
本当に変わるまで個々人の行動を徹底することが必要
ムダの排除、コスト削減、経費削減に対しては、組織のあらゆる人間が抵抗します。こうした中で、それらを進めていくには、一度「変える」と決定したことについて、本当にそれが変えられるまで個々人の行動を徹底することが必要です。
それには、その仕事の担当を替え、その時にムダを省くこと、コスト削減や経費削減がその人間の使命であることを明確にした上で任に就けるなどの荒療治が必要です。しかも、それを担当する人間は、組織の中のすべての人間を敵に回す覚悟と、さまざまな抵抗、サボタージュを打ち破る圧倒的なノウハウがないと、ムダもコストも経費も省けないのです。
例えば、4〜5月に行なわれた仕分けの対象となった事業は230以上ありました。ここで、さまざまな行動の提言がなされたわけですが、1つ1つの指摘に対して、1つ1つの変更に対して、今回申し上げたような攻防が繰り広げられるわけです。
果たして、事業仕分け、あるいはその提言の中に、それらがすべて実施されるのを徹底される仕掛けは含まれているのでしょうか? 1つ1つの提言について、単なる指摘に留まらず、それを実行する、実施に責任を持つ、実施されるような仕組みを作る、そこまでを行って初めて、我々のような問題解決に携わる者は、役割を果たしたと言えます。(中ノ森清訓)
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