コラム
ある編集者は言う。「ライターは下請け、著者はアホでも著者様」と:吉田典史の時事日想(4/4 ページ)
ゴーストライターの世界は一体どのようになっているのだろうか。ゴーストライターをしている、ある30代後半の男性に聞いたところ、まるで“無法地帯”のように、立場の強い者のやりたい放題となっているようだ。
ゴーストライターの世界は「無法地帯」
しばらくすると、この経営者の本が新聞広告に掲載されていた。トラブルが起きた出版社とは違う中堅の出版社だった。ライターが慌ててその本を読むと、200ページほどのうち20〜40ページはかつて自分が書いたものとほぼ同じ。本の全体の構成も似ているので、急いでトラブルが起きた出版社の編集者に電話を入れた。
編集者は、けげんそうに答えた。「あの原稿は経営者に著作権がある。こちらは何も言えない。あんな奴とは絶対に仕事をしない」。納得できないライターは、この編集者とお金の支払いについて話し合い、結局、20万円が支払われた。1年半近く振り回された挙げ句、たったこれだけである。損失額は、本人いわく「200万円近い」という。
ゴーストライターの世界はまさに「無法地帯」であり、立場の強い者のやりたい放題になっている。泣きを見るのは、下請けであるゴーストライター。このライターは、編集者が勤務する出版社に弁護士を通して内容証明郵便を送った。抗議の意思を示すためであるが、いまだ何の回答もないという。
シリーズ:知られざる「ゴーストライター」の世界
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