社会の多様化にともなって、時代に合っていないと批判されることも増えている新卒一括採用。企業は新卒一括採用について、どのように考えているのだろうか。
レジェンダ・コーポレーションの調査によると、2011年4月入社の新卒採用活動を行っている企業に「新卒一括採用の賛否とその理由」を尋ねたところ、トップは「自社の企業文化を一括で育成できるので賛成である」で50.0%。以下、「効率的で賛成である」が45.9%、「採用活動で一定の能力は見極められるので賛成である」が29.7%、「多様な経験を持つ学生を採用できないので反対である」が13.5%で続いた。現在、新卒一括採用を行っている企業に尋ねていることもあって、賛成の声が多くなっているようだ。
新卒採用の意義を聞くと、最も多かったのは「将来の幹部候補生の育成」で67.6%。以下、「社内活性化」が55.4%、「年齢構成ピラミッドの維持」が50.0%、「企業文化の醸成」が48.6%、「現場での戦力確保」が44.6%、「社会的使命」が16.2%で続いた。レジェンダ・コーポレーションでは「『現場での戦力確保』より『将来の幹部候補の育成』の割合が高いことから、少数の新卒採用学生を長期的視点で採用している様子がうかがえる」と分析している。
即戦力としては中途採用者ほど期待されない新卒だが、新卒で入社した学生が企業で「戦力(仕事を理解して動けるようになる)」「一人前(企業に成果を出して貢献する)」になれるまでに要する期間を尋ねると、「戦力」になるまでの期間は平均1.5年、「一人前」になるまでの期間は平均3.3年だった。
インターネットによる調査で、対象は2011年度新卒採用活動を実施する74社(製造業20社、金融業4社、建設・不動産業8社、サービス業9社、商業9社、情報通信業21社、その他3社)。調査期間は5月13日から19日。
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