コラム
“御用聞きコメンテーター”を信じてはいけない:相場英雄の時事日想(2/2 ページ)
新聞記事やテレビ報道で、著名な大学教授やエコノミストなどがコメントを寄せていることは多い。しかしこうした「専門家の見方」に、危険な側面があることを知っている人は少ない。今回の時事日想は、御用聞きコメンテーターの実態に迫った。
引き継ぎリストを見直せ
引き合いに出した元幹部はいたって温厚な人物であり、筆者が個人的に恨みを抱いているわけではない。ただ、同氏ほどではないにせよ、経済ニュースに登場して解説を加える専門家の中には、「メディアへの露出が最優先課題」ととらえている向きが少なくないのだ。露出度が上がることにより、業界紙が実施するアナリストランキングが上がる、あるいは、講演のギャラが上昇すると割り切っている向きも確実に存在している。
内外の通信社や一部の経済メディアを除けば、大手紙や民放テレビの経済担当記者の異動のサイクルは速い。長くて1年、半年おきに担当部署が変わるケースがざらにある。
こうした際、手元にコメントを寄せてくれる専門家のリストがあれば、取材の手助けとなることは間違いない。また、通信社や業界紙に登場する頻度の高い専門家を選びがちになる。原稿をチェックするデスクに話を通しやすくなるからだ。
ただ、先に触れたように「露出最優先」の関係者に当たり、おざなりなコメントを取る機会が増加する事態になってしまえば、原稿の価値は大きく減じてしまう。記者ならば自身の目で、自分の原稿を補完しつつ、読者をより高みに導いてくれる専門家をコメンテーターとして発掘する努力を怠ってはならない。
関連記事
- どうした自動車ジャーナリスト! 事実を語らない裏事情
どの世界にも事実を伝えようとしない、いわゆる“御用ジャーナリスト”が存在する。中でもクルマ業界のそれが、目立ってきているのではないだろうか。本当のネタを語ろうとしない自動車ジャーナリストの裏事情に迫った。 - 暴力団を排除すれば……芸能界にも“飛び火”するかもしれない
野球賭博や土俵近くの席で暴力団幹部が観戦するなど、反社会的勢力との関係が問題になっている相撲界。ただ反社会的勢力を徹底排除すると、さまざまな業界で問題が噴出するかもしれないのだ。 - 暴力行為、許すまじ……筆者が経験した恐い話
「不審者を発見したら、即座に通報すること」――。筆者の相場英雄氏が所属していた通信社では、このような通達が出た。暴力による言論弾圧は許されることではないが、現実は違う。今回の時事日想は、相場氏が経験した恐い話を紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.