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記者に手渡される怪しいカネ……メディア汚染の問題点とは上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(2)(2/3 ページ)

いわゆる“永田町の論理”という言葉があるが、それは現場で取材をする記者にも当てはまるようだ。政治家の“懐”から記者に金品を渡すのは、慣習として存在。政治家と一緒に食事をするだけで、30万〜50万円のカネが手渡されていたという。

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窪田:また封を切ってから返してしまうと「オレを舐めるな! こんな金額じゃ足りねえ!」などと勘違いされても困る(笑)。

上杉:せめて大きめの紙袋に入れてもらわないと(笑)。

窪田:いやジュラルミンケースに入れてもらって、ゴロゴロ転がしてきてもらわないと(笑)。

上杉:そこまでしてくれるのならちょっと考えてやっても……いや、絶対にないな。

永田町の感覚


作家・経済ジャーナリストの相場英雄氏

相場:普通の記者であれば、お金をもらったらビックリしますよね。お金をもらったら「ちょっとマズイ」という意識が働きますから。

 ボクは経済部だったので、企業の広報から接待されれば、必ずおごり返していました。それが慣習としてありましたから。しかしお金をもらったときには驚きましたね。

上杉:相場さんの感覚は普通ですよ。むしろ永田町の感覚が、麻痺している。政治家はよくこんなことを言います。「ほら“お年玉”をあげるよ。これはね……社会通念上の問題だから」と。

相場・窪田:ハハハ。

上杉:でも、秘書時代の先輩から聞くと「A社の政治部長に10万円はちょっと少ないかなあ」と思ったりしたそうです。30万〜50万円が多かったので「時事通信だと30万円でいいけど、読売新聞だと50万円かな」といった感じ。

 そういうことをしていると、永田町の通念が当たり前のように思えてくる。またもらう側の記者も、何の疑問も抱かずに受け取る。しかし一般の人の感覚からすると「なぜ政治家と一緒にご飯を食べただけで、30万〜50万円の大金をもらえるのか?」と思うのが普通ですよね。

相場:永田町の感覚って……相撲界の“ごっつあん体質”に近いのかもしれない。

上杉:ボクの場合、ジャーナリストをする前に政治家の秘書をしていた。つまり配っている側からもらう側になってしまった。実際、ジャーナリストになると政治家の秘書たちがお金を持ってくるんですよ。彼らは平気な顔をして、机の上にお金を置いていく。しかしそのお金をきちんと返せば、相手は2度と渡そうとしません。

 受けとろうとしない相手に、何度も何度も渡そうとする人なんていません。なので「自分は断っているのに、政治家が何度も何度も渡しに来る」と言っている人は、過去に1度は受けとっている可能性があるとみてしまう。

 あと高名な政治評論家に関しては「講演会」を絡めて、500万円くらいが相場でした。しかし、ある別の政治評論家はこんなことを言っていました。「これ金額が間違っていますよ」と。多すぎるんですか? と聞いたところ「これは半分だよ。半分しかない。1000万円だよ」と言ってきた。

窪田:政治評論家の先生って、スゴイですねえ。

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