記者に手渡される怪しいカネ……メディア汚染の問題点とは:上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(2)(3/3 ページ)
いわゆる“永田町の論理”という言葉があるが、それは現場で取材をする記者にも当てはまるようだ。政治家の“懐”から記者に金品を渡すのは、慣習として存在。政治家と一緒に食事をするだけで、30万〜50万円のカネが手渡されていたという。
上杉:相場さんがいらっしゃった時事通信社にも該当者はいます。『週刊ポスト』に詳細を書いたのでここでは控えますが、その人物にはずっと取材を依頼していた。ところが、いきなり怒鳴ってきましたよ。「そんな不愉快な質問をする奴とは2度と仕事ができない!」「オレの名前を出すな!」と。怒るのではなくて、きちんと説明してくれればいいのに。もしお金をもらっていなければ、怒らずに説明できるはず。自分がそういう立場だったら、きちんと説明しますね。
窪田:そのリアクションを見る限り、“クロ”と疑われても仕方がない(笑)。
上杉:その人物のことはすでに書いたのですが、こうなると他の該当者のこともすべて書かなければいけなくなる。ま、最後には書くかもしれませんが(笑)。
相場・窪田:ハハハ。
上杉:ハッキリ言えば、解説委員や編集委員クラスの名前が挙がっていますが、もっと無名の人でも金品を受け取っている。ボクは今、彼らが内部調査をするのを待っている状態です。しかし何もしなければ、いつかは彼らのことについても書くかもしれません。
窪田:読んでみたいなあ。楽しみにしていますので。
→続く。
3人のプロフィール
上杉隆(うえすぎ・たかし)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年からフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。著書に『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など多数。
相場英雄(あいば・ひでお)
1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)など多数。
窪田順生(くぼた・まさき)
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。
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