不二家「カントリーマアム 5枚入り」はなぜ売れるのか?:新連載・コンビニ、ヒット商品の理由(2/2 ページ)
NEWDAYSの平均日販を日本一に押し上げたコンサルタント、笠井清志さんの新連載。第1回のテーマは不二家の看板商品「カントリーマアム」。コンビニでヒット商品となった背景には、パッケージの工夫があったようです。
フック掛けを意識したパッケージ
そこで登場してヒットしているのが、価格105円の「カントリーマアム(ニューヨークチーズケーキ味) 5枚入り」だ。105円という価格に抑えたことで、販売者の商品に対する期待度も高くなり、発売当初から積極的な商品展開が行われた。
加えて、同商品の優れた点として、パッケージが挙げられる。パッケージをよく見ると、上部に丸い穴が開いているのだ。この穴は、商品陳列時にフック掛けするためのもの。フック掛けだと陳列作業が楽になるので、販売者側としてはフックで商品陳列を行う。そして、フック掛けができると、通常のチョコレート・ビスケット売り場だけでの展開ではなく、ちょっと空いたスペースを活用しての商品陳列も行えるのである。
まとめると、「カントリーマアム(ニューヨークチーズケーキ味) 5枚入り」がヒットした理由として、次の3つの理由が挙げられそうだ。
1.コンビニで売れる商品容量にした
2.コンビニで売れる商品価格にした
3.コンビニ店員が陳列しやすい(たくさん陳列したくなる)パッケージにした
不二家の2010年度第1四半期決算を見ると、製菓事業全体の売り上げは前年比8.8%増の122億1100万円と好調。復活を期す不二家にとって、主力ブランドであるカントリーマアムからヒット商品が出るのは非常にうれしいことだろう。
著者プロフィール:笠井清志
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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